国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

禅機図断簡 智常禅師図 因陀羅筆

静嘉堂@丸の内の第2室は入り口からは対面となる。こちらは大陸から渡ってきた品々を展示。前期に訪れたので宋~元時代のものが中心だった。伝馬遠筆の風雨山水図や伝 夏珪筆の山水図が並ぶ中、伝牧谿の羅漢図がお気に入り。牧谿特有の薄墨を用いた背景は長谷川等伯の松林図屏風に通じる。羅漢の瞑想の深さと背景がシンクロして、見ていて引き込まれそうだった。ほかにも景徳鎮の磁器、油滴天目などの陶器も並ぶ。

どの展示会でもユニークさが際立つ国宝が因陀羅筆の禅機図断簡である。真面目に描いてはいると思うのだが、その構図や顔の表情がなよなよとして力強さが全く感じられない。禅道に通じていないためなのか、見ているとなぜか心がざわつく。綺麗や美しいとは対極にあると思える水墨画で、しかもおじいさんしかいないにも関わらずである。禅特有の説教臭さが感じないためかもしれない。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。