2022年夏の京博特別展は河内長野の霊地にスポットを当てた展示会だった。観心寺と金剛寺展といっても差支えがない内容となっている。
展示は2階と1階で完結。3階は関係のない展示であった。ショーケース内にも解説や写真が展示したいたことから、展示数が少なさを隠す工夫が随所にあった。その分、入場料が1200円と、値上がりする一方の特別展料金の中ではリーズナブルだった。
内容は価格以上のものとなっていた。両寺にも宝物を見せる施設はあるものの、あまり大きくないため選ばれた一部しか見ることができない。今回は現地に行っても見ることができないものも多く、テーマに沿った展示ならではの陳列もあり、楽しむことが出来た。
ここに登場している寺宝たちを紹介する意味でも、最初に展示していたのが国宝・観心寺勘録縁起資財帳だ。観心寺のお宝たちを書き記したもので、無味乾燥な資料となっている。美術的価値は皆無に等しい資材帳だが、歴史を紐解く意味では一級品の資料である。資材帳が書かれた当時、蒐集された貴重な品々が羅列されていて、それが現在まで伝わっているものも多くある。霊地に相応しい品が揃っていることを裏付けている。
さて、資材帳の国宝は4点あるが、どれも見た目は普通の書類のため頻繁に展示されない。企画にあった時のみの出品になるので、いつ展示されるか分からないので、見逃すと長い年月を待たなければならない。その意味では今回の展示会は国宝に関しては資財帳を見せるための企画と言っても言い過ぎではない。