奈良時代、大陸と同等に渡り合うため国をどのようにするかを文章化した、いまで言う憲法のようなもの「律令」を制定して統治を始めた。大宝律令が有名だが、大まかな方針は指し示しているだけなので運用面では不十分な部分が多い。そこで、式という細かな部分を記したものが登場した。
延喜式は927年、醍醐天皇の時代に出来た。その中でも神名帳は官社に指定されていた全国の神社を一覧で書いたものが神名帳である。官社と式外社(社勢が強く官の力がおよばないものや、神仏習合の推進により仏を祀る神社など)がはっきりとしたことで、管理しやすくした。有名どころの神社の多くはここに記載されており、少なくとも927年には朝廷が認めるだけの勢力があったことが分かる。
延喜式神名帳は淡々と事実を記載したものなので、美術的価値はあまりないが歴史的な価値は高く、知っている神社名を読むたびに心躍る書跡となっている。1100年以上も前に記入された内容が現代まで続いていると思うと、国宝建築を有する神社以外も巡ってみたくなった。