国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

不動堂 金剛峯寺

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高野山金剛峯寺真言密教の道場として伽藍に多くの建物が建っている。しかし、標高が800メートルの山上盆地に建っていることもあり、多くの建物が落雷による火災で焼失し、創建当時の建物は皆無となっている。比叡山延暦寺にも言えるのだが、山頂にある伽藍では法隆寺興福寺などの平地にある寺院と比べて国宝建築物は少ないのは自然に抗うことができない証拠かもしれない。

さて、金剛峯寺の伽藍で唯一の国宝が不動堂である。不動堂は1197年に、鳥羽天皇の皇女である八條女院こと暲子内親王の発願によって建立されたと伝わっている。しかし、調査によると現在の建物は鎌倉後期に建立されたと考えらている。それでも様式は平安時代の住居建築に近く、古式の様相となっており歴史ある建物として国宝にふさわしい。

もともとは女人堂付近にあったが、1908年に伽藍内に移設。そのため、他の建物は向きと並びが整然としているのに対して、不動堂だけが伽藍全体から見ると微妙な位置と向きになっている。そのため、写真のように大塔を背後に受ける形になっている。延暦寺の根本中堂が国宝であることから、金剛峯寺にも伽藍内に国宝が必要だと考えた苦肉の策なのかもしれない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。