様々な鳥観図があるが、描かれている人々の一人一人が最も生き生きして描いているのは岩佐又兵衛の作品である。
いつの時代も首都である都にはあこがれを持つ。政治的な中心であるだけでなく、文化の発信拠点として人々を引き付ける。いまでこそ、交通インフラが発達したため、全国どこからでも日帰りで東京へ行くことができる。しかし、江戸時代は気が向いたらすぐに行けない。大名であってもそうで、京の都の華やかさを肌で感じることはなかなか機会がない。そこで、絵にすること、今ならば観光マップを入手することで想像での都体験が可能になる。景色を描いた単なる鳥観図では街中の人々を描くことでより、現実感が増す。今ならばVRといったところだろう。