国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

古今和歌集序 大倉集古館

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大倉集古館が5年間のリニューアル工事を経て、久々の開館となった。それを記念して、同館所有の国宝3点が出品される「桃源郷展」が開催されている。ただ、3点同時には観ることができず、随身庭騎絵巻物は後半、前半は古今和歌集序がお目見えする。

集古館は中国風の建物で、竹林で囲って○○飯店と看板が掛かっていたら中国に来たと言い張れそうだ。向かいにある近代的なビルのホテルオータニ本館とは対照的で、歴史的な美術品を飾るにふさわしい。

展示は中国風のものが飾っていそうな雰囲気だが、2階で与謝蕪村・呉春が見た夢と題して、影響を受けたであろう作品も陳列していた。特に中国の桃の絵柄は独特で、絵画や陶器などに描かれて、桃色感満載の展示となっている。

さて、お目当ての国宝は1階で展示。古今和歌集序はカラフルな紙をつなぎ合わせてその上にさらさらと書かれた和歌が踊っているなかなか手の込んだ逸品。断簡され掛け軸や手鏡などで1枚1枚で観ることが多い中、巻物状態で観ることはそう多くない。手を加えていない無垢な巻物は、紙の色の違いと文字の勢いが直感的に伝わり、創作者のリズム感が伝わってくる。序なので、破、急ではないがこの続きを観たい、そんな和歌集である。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。