今回の京博の企画展では、雪舟作品は展示されていない。日本の水墨画の大巨匠で、前回の国宝展前期には「国宝6点すべてみせます」と大々的にPRに使われていた。しかし、雪舟の画風は亜流に見える。極端な強調表現と軽やかな筆使いの部分を使い分け、コントラストで見せている。観ていると激しい感情を起させる。
その点、李唐の山水図は水墨画の弩直球で正統派。中国の水墨画と言えば奥深い山と底を流れる川、木々が少し生えて道がある。奥行きがあり、ゆったりとした時間の流れを感じつつ、その場へ引き込む。灌頂を押さえる効果があり、禅道にも通じる図となっている。