日本には四季があった。最近は暑い夏の後、すぐに冬が来て、ゲリラ豪雨の梅雨が明けると夏が来る三季になりつつある。せめて絵の中だけでも四季を感じたい。それを留めたのが金地院所有の秋景・冬景山水図だ。
夏は久遠寺が所有し、春は失われた。3幅すべてに足利義満所有の印が押してあり、室町将軍が所有した名品である。土佐派や狩野派などが描く襖絵など色鮮やかに作られた四季とは違い、モノトーンの絵が主張しすぎず禅様真っ盛りに好まれた作品らしい。四季に合わせて床の間に飾られただろうが、現代なら中間に豪雨の絵も必要になる。