国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【雪舟と玉堂】四季山水図巻 雪舟等楊

f:id:kokuhou:20210303200300j:plain]約16メートルある雪舟作・四季山水図巻。毛利博物館では毎年秋にすべてを開いて見ることができる。そして、岡山県立美術館でも巻物すべてを一気に見ることができた。

展覧会のメインビジュアルに使用されていることもあり、一番人気で見るために長い列ができていた。岩肌の独特な書き方や、パースがおかしい建物、水墨画とは言いつつもところどころに彩色があるなど、観ていて楽しい作品である。

一枚の巻物に春夏秋冬の変化とともに、大陸で見たであろう風景を学んだ画風に落とし込んだ雪舟ならではの作品に仕上がっている。うまい画家は宮廷画家などたくさんいるし、個性的な作画をする人も多い。そのどちらからも評価されるのが雪舟で、上手な中に個性を埋め込んだ画聖の名にふさわしい書きっぷりである。

雲谷派が画風を引き継いでいるが、時代と共に主流は狩野派琳派など派手なものへ遷る。質素な禅文化の隆盛期に現れた天才・雪舟。生まれる時代が違えば、水墨画以外の傑作が数多く誕生していたかもしれない。 

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。