いつもは春・秋に公開される仁和寺の霊宝館に鎮座している阿弥陀如来坐像。寺の中心的仏像ではあるが、その地位を2代目に譲り、特別な時に顔を出す。先代の親方的存在で、隠居はしているがまだまだ現役バリバリ。
浄土思想が蔓延して大量の仏像が誕生した時代に、寄木造を取り入れて仏像のデファクトスタンダートを作り上げたのが定朝である。仏像は一気に広まったが、同仏像は定朝が誕生する以前の作品である。
一木造りによるふっくらとした阿弥陀さまで、現存する阿弥陀如来では最古のものとなる。見慣れた仏像が定朝様式が多いためか、このふくよかな仏像はより安堵感が強く、拝んだ効果も倍増しそうな雰囲気がある。