大反響の運慶展。ほぼ国宝と重文の展示で、今年最大の仏像展といっても過言ではない。
奈良で春に開催された快慶展では仏像以外の出品も多かったが、運慶展は関連の仏像を集めまくった結果、ほとんど仏像の陳列に終始している。(陳列できなかった仏像以外の一部は本館で展示していた)
すべて気になってはいるものの、重源上人坐像は360度見ることをおすすめする。
普段はお堂に安置されているため、正面から見上げる形のみで観ることができる。その時はただの老人だと思う程度だった。
ところが、同一視線で回って観ると意外なことに気づいた。まずは首がぎりぎりまで伸ばされて、顔を意識的に前へ出している。そして、老人の割にはかなり体つきがよく、節制している僧侶とはかけ離れた肉感的である。写実的な年老いた顔と力みなぎる座禅姿は、クライアントである重源上人がいかに偉大であるかを表現したものだろう。このアンバランスは、ドラゴンボールの亀仙人がムキムキ爺さんになったコマを思い起させた。荒廃した南都の復興を成し遂げた僧侶は亀仙人クラスのレジェンドなのだろう。