国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

普賢坐禅儀 道元筆 永平寺

福井県立歴史博物館で特別展 「越前の禅文化 〜大本山永平寺文化財を中心に〜」を開催していて、国宝の普賢坐禅儀が久々に寺外で出品された知って見に行った。

道元筆の普賢坐禅儀は永平寺内にある寺宝を展示する瑠璃聖宝閣に日常的に展示しているため、見るのに苦労する国宝ではない。ただし、車社会の荒波に逆らえず永平寺までの公共交通機関が激減の一途をたどっている。北陸新幹線が金沢から福井まで延伸したとはいえ、そこから永平寺までの交通手段の選択肢が少ない。修行の場と考えるなら致し方ない。

普賢坐禅儀が展示されている福井県立歴史博物館は福井市内の繁華街から北に外れた場所にある。近くには福井県立美術館(同時期に開催していた菱田春草回顧展で1階にまとめて展示した落葉の部屋は必見!!)があり、文教地区で住宅が多い場所となっている。歴史博物館なので常設で福井の歴史を紹介していて、戦前のレトロな空間は再現度が非常に高い。廊下には古い車の展示があり、年配者は昔を思い出し、若者は初めて見る映えるレトロが堪能できる。

常設展示と同じフロアにある2階の特別展示室で越前の禅文化を公開していた。ユーチューブなどで見ることが出来る展示会開幕のニュースで取り上げられていた映像で写っている空間がすべてで点数はそれほど多くない。広い部屋をショーケースで3ブロックに分けて使用していた。入り口近くで道元が使用していた道具と発掘品の紹介があった。次のコーナーに普賢坐禅儀は展示していた。永平寺で見た時と同様に結構あっさりと展示していた。道元が座禅を勧めるために書いたもので、まるで写経生が作ったと思うぐらい非常に丁寧に書かれていた。同時に公開していた国宝附の普勧坐禅儀述記も道元が書いたものだが、こちらは一心不乱に考えを書いたようで、ある意味で殴り書き(といっても普通に読める)であった。道元がどんな人か想像を膨らませられた書で、空海の灌頂暦名を見た時のようだった。道元筆の国宝は10月15日までが実物展示と期間は短い。本物を見ることが出来て大満足だった。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。