ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)で開催している名宝が織りなす歴史物語ー広島県の国宝・重要文化財Ⅳーでなかなか見ることが出来ない国宝の展示があった。持光寺が所蔵する絹本著色普賢延命像がそれで、広島県にある国宝の代表として陳列されていた。
広島県歴史博物館とあるが、場所は福山駅の近く(なのでふくやま草戸千軒ミュージアムが先にくる)で、国宝刀の西のメッカであるふくやま美術館と同じ敷地内にある。久々に訪れたら、刀剣乱舞の江雪左文字の銅像が建っていた。暑い中、この銅像を目指して訪れていた人が数人いた。刀剣乱舞には集客効果がまだまだあると感じた。
名宝展では広島県にある文化財が時系列で並んでいた。銅鐸などの出土品に始まり、朽ちてきている平安期の観音立像が並ぶ。神像は虫食いや割れなどで傷みが激しい割に原型をとどめていた。お目当ての国宝は次のコーナーにあった。
持光寺の普賢延命像は褪色しているため、かなり見えにくい部分がある。菩薩が乗る蓮部分は特に薄く、4体いる像の頭に乗る四天王も見えにくくなっていた。菩薩の手が20本あるタイプの延命像で、「延命像仁平三年四月廿一日供養」という墨書があることから、1153年の作品であり、製作年が分かる最古の普賢延命像となる。
普賢延命像は御産祈願や長寿延命を祈る普賢延命法という密教の儀式を行うときの本尊だそう。儀式での燻煙で銀箔などが変色し色調なども変化している。いつの時代も人の命は重要で、平安時代は普賢延命像は大活躍していたようだ。
名宝展は展示数はそれほど多くなく、あまり人の入りも多くなかった。そのため、時間の許す限りじっくりと見ることが出来た。もう少し、国宝・重文を推したネーミングにするだけで来場者数が跳ね上がりそうだが、そのあたりが広島の「おしい」部分かもしれない。