国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

尺牘 大慧宗杲筆 畠山記念館

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畠山の名品展に出ている後期の国宝は2点。見たかった牧谿作を堪能して、1階・一番奥の部屋に大慧宗杲筆の墨蹟が展示していた。

大慧宗杲は中国・宋時代の臨済宗の僧侶。師から示された公案を解いて悟りに到るという看話禅を推奨した。黙々と坐す座禅により仏徳を得る曹洞宗の黙照禅と対極の方法で、目指すべき頂きは同じでも動的なアプローチか静的なアプローチかの違いで禅の布教を広めた。また、圜悟克勤の元で臨済禅を修め、正法眼蔵(六巻)の著者としても知られている。

そんな当時の新進気鋭の禅導師の手紙が国宝となっている。内容は近況を報告した私的もので、気を遣う内容ではないためか文字は固い書き方ではなく細かな字でリズミカルに書いている。東博にも国宝で大慧宗杲の書があり、筆まめであったことが分かる。

畠山記念館展は畠山一清が茶、能など、出身地である加賀藩が工芸に力を入れていた流れを真正面から受けた蒐集が伝わってくる内容だった。また、それらが美術品として伝わったものではなく、茶会などで使っていたことで、お役御免となっていない生々しさがあった。さすがに軽々しくは使うことはできないだろうが、記念館がリニューアルした暁には茶室で使っている雰囲気だけでも味わえる展示内容あればと思った。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。