京博では珍しく企画展がてんこ盛りの2月である。会期が延期になったものを今期中に消化するために仕方がない。京博と奈良博は常設スペースがなく、特別展が入ると同館所有の品々をお披露目できない。必然的に出品点数が多くなり、広々と展示することが少ない。
その中でも、運慶が願いを込めた経典、法華経第八は珍しく法華経部分が広く開かれていた。だいたいの展示会では巻末の運慶が願いを込めたサインのある部分を中心にお経が書かれた部分はほとんど開かれることがない。今回は書写した珍賀の美しい字が堪能できた。
他の経典でも展示スペースの関係で、最初の部分や関連語句のある部分が開かれておしまいの場合が多い。また、この展示では東大寺が焼失した時に出た残木を再利用した軸も展示。収集者が観たであろう全貌を同じように体験できる難い演出であった。