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【畠山記念館】蝶螺鈿蒔絵手箱

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大正から昭和初期にかけて、茶道は経営者の嗜みだった。廃仏毀釈と大名の凋落で市場に出回った骨とう品を外国人や国内の経営者が買いあさり、コレクションとした。戦前ならば見ることは叶わなかった品々が戦後50年以上が過ぎ、資産管理を兼ねた美術館運営の一環として見ることができるようになった。

畠山家はポンプや環境機器の荏原製作所創業家にして、能登藩主の末裔であることから、ポッと出の資産家たちの買い漁りとは訳が違う。しかし、資産の相続の苦労は一緒で記念館として年4回程度開放している。この記念館の立地が白金台と現在では超高級住宅街内で、隣にあった旅館は廃業後に超有名資本家に買われたらしい。そんな場所にも関わらず茶室が3棟あり、茶道への愛情が強かったことが分かる。

今回の展示会は同館の茶道具コレクションに加えて、大名茶人の松平不味に関するものを展示している。三井記念美術館とは違い、同館らしい派手さは全くない。その中で、蝶螺鈿蒔絵手箱も一等席での展示会場奥中央にあるが目立たない。東博の片車輪、サントリーの浮線綾、徳川美術館の婚礼調度類一式など、派手でそれがあるだけで輝くはずの蒔絵手箱が、地味に置かれている。せっかく国宝で輝きが売りの手箱にも関わらず、ほかの茶道具とおなじ仕様の陳列で、とても寂しい扱いだったお客の入りもまばらだったのも立地や企画内容のせいだけじゃない。照明や陳列がそれほどお金をかけずにできる時代なのだから、工夫して見せてほしい。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。