特別展の毘沙門天は東新館と西新館の1室のみで開催。37件の出品なので新館全てを使うことができないのは仕方がない。西新館の残りスペースでは東大寺の冬の風物詩で奈良博の展示も同時期の風物詩となっているお水取りの企画展となっている。ここまではまだ許せるのだが奈良博の残念なところは、せっかく普段より価格の高い特別展チケットを購入して観に行っているのに、西新館の1階への出口近くの展示スペースが丸々潰されて、なにも展示していないスペースがあることだ。源信展でもパテーションに六道絵をプリントしてお茶を濁していたが、なにか関連のものでもよいので展示をしてほしい。それがない場合は常設展の延長でもよいので、最後までなんらかの展示を楽しみたい。(京博なら1階の彫刻ゾーンは企画に関係ないことが多い)企画趣旨に合うものだけを展示したいという気持ちも分からないではないが、せっかく奈良まで行くのだからできるだけ多くの展示物を観たい。
さて、西新館の1室は兜跋祭が開催されていた。一度に7体もの兜跋毘沙門天を観たことはない。どれも東寺のものを写したようなフォルムだった。お目目が真ん丸で、面長の顔。東寺の毘沙門天は最近の調査で中国産のクスノキ科の樹木で作られていることが判明し、大陸から伝わったものだと確定した。大陸の文化を日本全国に伝えるために彫られたのだろうが、やはり日本人の趣味とは合わなかったので普及しなかったのだろう。
あと、尼藍婆・毘藍婆坐像も2点展示。髪型は布袋寅泰のようにつんつん頭で、正座をした体勢で両腕をクロスさせて人差し指と中指を合わせて立てている。DAIGOのウィッシュ(こちらは親指と人差し指と小指?)か加藤鷹の決めポーズのような形だ。2体が対を成すように作られているので、狛犬のようなシンボリックなものに思える。毘沙門天像は作り手の創作意欲を沸かすようで、体のひねりや決めポーズなど独特に仕上がっているものが多く、個性的な展示会となっている。