国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

富貴寺 大堂

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大分県の国東半島は修験道の研さんの場となっていたため、多くの寺院が点在している。今年は六郷満山開山1300年で、様々なイベントが開催しており、行くには絶好の機会である。しかし、本格的に寺院周りをするには本数の少ないバスしかなく、歩くにもアップダウンが激しいため長丁場を覚悟しないといけない。

さて、大分の国宝は数えるほどしかない中で、国東半島にある富貴寺の大堂はツアーで来ている客も含めて、「ここを見に行くぞ」と気合を入れないと来ることはない。なにせ、周りにこれといって観光施設があるわけでもなく、寺自体もそれほど広くない境内なので見るべきもの大堂以外にほとんどないためだ。

しかし、この大堂が国宝マニアは必見の建物。九州最古のかやの木で造られたお堂で、阿弥陀堂としては宇治の平等院鳳凰堂、平泉の中尊寺金色堂とならぶ日本三大阿弥陀堂である。きらびやかなお堂がもてなす宇治や平泉が大観光地であるのに対して、行基葺きの地味な大堂は集客よりも信仰の対象であり続けることを選んだのだろう。

そんな富貴寺大堂は内部の壁画が見どころである。(戦争の空爆でお堂が一部壊れてそこからの)風雨や雨漏りなどによる激しい痛みにより、かすかにしか残っていない壁画は浄土信仰を表したもので、日本三大阿弥陀堂の名に恥じない出来栄えである。平安時代にトレンドだった彩色の壁画は、当時の人を熱狂させたことは間違いない。宇佐八幡宮奈良時代の政権とつながっていた流れから、藤原家の栄華を誇った平安時代の終末思想の流れからの極楽浄土を体現した大堂建立。中央との結びつきが強い豊国ならではの遺産だ。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。