山水画の大家である雪舟だが、人物を中心とした作品でも国宝がある。慧可断臂図は達磨大師に弟子入りを希望していた慧可がその志の度合いを示すため自ら左腕を切り落して入門が許された場面を描いている。
自ら腕を切り落す残酷な場面であるはずなのだが、雪舟の絵ではなぜか悲壮感が全く感じられない。座禅をし続ける達磨の表情も決意を込めた行為の後の慧可も、ともにその表情は禅の境地を達観して無となっている。そのため、激しい自傷行為のはずがなんともユーモラスに見えてくる。周りの風景が山水画で名声を得た雪舟ならではの構図で、人物はあっさりと素早く描くことでメリハリがついていることも効果を生んでいる。
レア ★☆☆
観たい ★★☆