国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【三宝院】唐門

 

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写真の右奥に国宝の唐門がある。表側からなら入場料なしで写真が撮れるがせっかく入場料を払ったので裏面の写真を載せた。

表面も裏面もデザインは黒漆をベースに金で家紋を表現している。派手好きな秀吉が喜びそうなデザインとなっている。平成22年に修復されたためピカピカ。外の吹きっさらしにしておくのはもったいない。

【醍醐寺】宋版一切経

昨年に国宝指定を受けた宋版一切経醍醐寺では新入りの国宝である。東大寺復興の立役者である重源が宋から持ち帰ったものを醍醐寺に納められたものが現代まで伝わっている。

展示は大切に保管していたことが分かるように保管していた箱が後ろの壁面に配置され、その手前に見えやすいように経典を並べて見せている。6102帖の経典がほぼ完全な形で残っていることが国宝指定への評価となっているぐらい、保存状態は良好で約800年前のものであるとは想像できない。それぐらい丁寧に資料を保管してきた寺の努力が分かる逸品である。

【醍醐寺】五重塔

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天気用予報などで桜の開花のニュースが出始めた。日本史の中で桜と国宝の組み合わせで一番想像されるのは醍醐寺だろう。豊臣秀吉が1598年4月20日に醍醐寺で桜の花見を開催した。今から420年も前の話であるが、北野大茶会と並ぶ催し物で未だに知られていることから、秀吉は歴史上最高のイベンターだったのだろう。

そんな秀吉も観たであろう国宝の五重塔平安時代の951年に建てられたもので、京都の中心地は応仁の乱で荒廃し、それ以前の建物はほとんど残っていない。そのため、少し郊外にある醍醐寺には歴史的な建造物が残っている。その中で一番高い建物が五重塔である。塔は心柱を中心とした免震構造になっていることも、地震国で残り続けた要因である。

なかの初重壁画も国宝で、毎月29日に観ることができる。

【東洋文庫】史記 夏本紀第二

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三菱財閥の美術館では、これまで丸の内の三菱一号館美術館二子玉川静嘉堂文庫美術館に行ったことがあった。そして今回、初めて東洋文庫に行った。

他の二館と違って、目を引く特別企画展が行われることは少なく、なかなか興味を持てなかった。そうこう言っている内に年月が過ぎてきたので、思い切って訪問することにした。企画展の内容はハワイ。常夏のリゾート地の歴史を蔵書で辿る内容となっている。まずは行って1階部分に若干の企画にあった展示が陳列されている。そして、2階へ移動すると、写真でよく見る蔵書の壁が眼前に現れる。本好きなら何時間でも居られる空間ではあるが、残念なことに蔵書に触ることができない。もちろん、読むこともできないのであくまでも雰囲気を味わうのみだった。

さて、東洋文庫は珍しい書跡を多くもっていて、国宝のものもある。その一部を企画展に合わせて展示している。今回の展示会では史記の夏本が展示されていた。史記は中国の歴史書で、鳥獣戯画でお馴染みの京都栂野の高山寺が保管していたのものだそうだ。続いてハワイ展の陳列が再開する。施設全体が蔵書の保管・研究のために作られたこともあり、展示に割くスペースは広くないので若干物足りない気持ちで見終えた。

【長保寺】多宝塔

 

 

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本堂と同じ時期に造られたと思われるが、塔は純和風建築。和歌山の国宝指定の塔は高野山の金剛三昧院と根来寺の多宝塔があり、どうしてもそれらに比べると地味である。本堂や多宝塔それぞれ単独で観ると地味で仕方がないが、同一寺院で大門・本堂・塔の3つの建物が国宝指定されている寺院は法隆寺と長保寺だけである。

寺院の背後の山には紀州・徳川家の菩提寺として、歴代の紀州藩主とその妻たちの墓がある。暴れん坊将軍を輩出した銘家にふさわしい建物となっている。

【長保寺】本堂

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長保寺は一条天皇の勅願により1000年に建立された。1241年に現在の地に移され、1311年には主要な建物を丘の中段に移設した。京都の寺社建物を見慣れてしまうとそれ程大きくもなく、外から見る限り凝った設えもないので地味に見える。ただ、鎌倉時代の建物で、外部が和様・内部が唐様の手法も用いた折衷様式の代表作とされる。内外を見比べて初めてよさが分かる。応仁の乱のため京都にはほとんどない建築様式を堪能できる寺院である。

【長保寺】大門

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紀州藩菩提寺である長保寺は国宝建築物が3件ある。その一つが入口の大門。和様の入母屋造りを基調にしているがところどころ唐様が混じっている。大門を抜けると桜並木となっており、時期が来た時にはすばらしい眺めになるだろう。

大門は室町時代の1388年に建立されたことが分かっている。松江城もそうだが、国宝への道として建物は制作年度を残すことはとても重要だ。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。