国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【奈良博】倶舎曼荼羅図 東大寺

年末年始の奈良博の企画展示はこの三連休で終了する。その中で、今年の奈良博で開催される特別展の前哨戦的な出品があった。それは倶舎曼荼羅図だろう。夏ごろに曼荼羅図展とも言うべき、糸のみほとけへの期待を高める出品だった。

曼荼羅図は密教では儀式に用いる重要な仏具のひとつである。見ている方は仏が規則的にいっぱい書いてある程度しか理解できない。今回の展示物は東大寺の紙ベースで作った図であるが、特別展は糸をテーマとした刺繍絵の世界となる。図案化したものを糸で編むとなるとかなりの労力が必要で、仏関連で力を発揮する奈良博がどれだけのものを集められるか見ものである。

【道明寺】十一面観音立像

 道明寺天満宮のすぐ隣に道明寺がある。いや、道明寺の隣に天満宮があるといった方が正しい。道明寺は真言宗御室派に属していて、東博仁和寺展へは国宝の十一面観音立像が出品される。そのため、今回を見逃すと現地では4月まで見ることができない。

国宝指定の十一面観音立像は7体あり、その一つが道明寺のものである。本堂に鎮座しているが、ガラス張りの厨子の中で保管されている。そのため少し見にくい。国宝よりも興味を持ったのがその他の仏像。堂内の雰囲気を作り出すため、入り口から一番遠い壁際に並べられている。十一面観音立像の背後は壁になっていて、その壁で見えない後ろにも小さな仏像たちが並べれているなど、内陣よりもその後ろが充実している。

【道明寺天満宮】牙笏、青白磁円硯、玳瑁装牙櫛、犀角柄刀子、銀装革帯、伯牙弾琴鏡(伝菅公遺品)

 国宝展でも通期で展示されていた菅公遺品の品々。後半になるにつれて考古ゾーンが人でいっぱいになってきて、なかなか見にくくなっていた。改めて現地で観るため、初詣で賑わう道明寺天満宮へ行く。

境内は初詣の参拝客でごった返しており、参拝以外にもおみくじを引くために行列ができていた。その行列を抜けたところに宝物館がある。あの賑わいはなんだったかというぐらい、宝物館の入口には人がいない。ということは、館内も受付以外人がいない。

宝物館は古い陳列棚内に天満宮の社宝が陳列されており、そのメインは国宝の菅公遺品である。硯は印象に残っていたが、閉幕から1か月以上経つとその他なにが陳列していたか覚えていない。ベルトや笏などを観ると菅原公はそれほど大きな人ではないことが分かった。その他、雪舟筆の絵や螺鈿入手箱など逸品があったが、何度も見に行きたくなる品がない。初詣客が近寄らないのは陳列に変化がないからかもしれない。

【奈良博】唐鞍(手向山八幡宮)

国宝の鞍は4つ。その代表と言えば永青文庫所有のもので、漆に螺鈿細工を施した観ていても惚れ惚れするものを想像する。しかし、手向山八幡宮の鞍はシンプルである。そもそも手向山八幡宮がどこにあるか知らなかったが、東大寺の二月堂や法華堂の並びにある神社がそれである。そこにあった唐鞍が奈良博へ寄託され展示されている。最後のブロックに展示されていたが、シンプルすぎて見過ごしてしまいそうな鞍である。飾り馬に使うものだそうで、飾った感じを見てみたい。

【奈良博】金光明最勝王経(紫紙金字)

奈良博の特別展が8日まで開催されている。そこで展示されている金光明最勝王経(紫紙金字)は紫の紙に行ごとに金字と銀字に書き分けた経典である。暗がりで(ローソクの)光を当てると浮き上がって見えることから、夜中の読経などに活躍したものだろう。経典自体はそれを書く専門の人がいたみたいで、給与のほかに書き上げると特別ボーナスがもらえたそうだ。逆に一字間違えるごとに罰金もあったようで、昔から賞罰は存在していて、職人の張り合いになっていたのだろう。

【東大寺】梵鐘

 年越しの恒例行事と言えば除夜の鐘。(大)昔は公共・民営問わず各地の除夜の鐘の中継で年を越していた。その頃はその中継地点の仏閣の価値が全く分からず、鐘を突くのにそんなに並ぶ必要があるのかと思っていた。大人になって、改めて考えると総本山が多く、信徒の方々は突きたくて仕方がない場所ばかりであった。信徒以外にも人々は金を突きに行く。ツキのない人生を一発逆転するためには有名な鐘を突かねばならない。東大寺はその意味ではベストチョイスのひとつになるだろう。なんたって国宝。14敷かない鐘分野で、大々的に除夜の鐘を募集しているひとつである。その条件は揃ったも同然。自ら突いた鐘の音は一年を交付へといざなうことだろう。

春日大社のすべて 赤糸威大鎧

東博で大好評だった春日大社展がこの春に奈良博で開催される。

と言っても、奈良博の目と鼻の先に春日大社があり、東博のような遠方なので観ておきたいとはならない。むしろ、春日大社の国宝館の延長線上的な展示会ではない、奈良博オリジナルな展示ができているかが観ていたい。とくに神仏習合の象徴である春日大社興福寺東大寺、源氏などの関係を展示で再現できるかに期待したい。その意味で武家との繋がり赤糸威大鎧をどう展示するか興味がつきない

レア ★☆☆

観たい ★☆☆

国宝 春日大社のすべて|奈良国立博物館

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。