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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

四天王立像(多聞天立像) 浄瑠璃寺

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新年の恒例となりつつある京都国立博物館の当年の干支に関する展示。今年は寅年なので、京博のマスコットキャラクター・トラりんのモデルである尾形光琳の竹虎図がメインビジュアルとなっている。琳派の作品は写実的で派手なものが多い。だが、竹虎図はキャラクター化された虎にあっさりと描かれた背景の竹が気が緩くなるデザインとなっており、全体がユーモラスで見ていて和む。円山応挙長沢芦雪が描く子犬の愛らしさと比べると可愛さは少し劣るものの、本来の虎が持つ迫力から程遠い脱力がコントラストとなっている点がずっと見ていられる要因なのだろう。

京博では寅関連の展示や、西宮山古墳の出土品、新収蔵品(若冲の百犬図がめでたくコレクションになった)の企画展が開催されていた。

1階では国宝の彫刻が2件展示されていた。安祥寺の五智如来坐像5躯は不動のセンターとしてここ暫くは定位置で鎮座している。もう1件は浄瑠璃寺の四天王立像のうち多聞天立像が登場していた。浄瑠璃寺の四天王立像は持国天増長天はお寺に、広目天東博で、そして多聞天は京博でそれぞれ保管されている。昨年の夏に開催された京の国宝でも展示されていたが、改めて見ると眉を逆八の字にした怖い顔をしている。反対に踏んづけている餓鬼は見方によっては気持ちよさそうな顔で踏まれる喜びを得て昇天寸前となっている。

立像は浄瑠璃寺の保管方法がとてもよいため、彩色が肉眼でもはっきり分かるレベルで残っており、彫刻自体の傷みもすくなく衣服のうねる表現も完璧に残っていることから、作られた当時の雰囲気を想像しやすい。餓鬼を懲らしめて、ポーズを取っている様はヒーローそのもの。出来た当初は黄金の九品仏と並んで極彩色の四天王像があったと思うと、当時の貴族にとって浄瑠璃寺は浄土に近い場所と言っても過言ではない。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。