見るからにパッション(情熱)に溢れる芸術は数多くあるが、古代の造作物で熱量が冷めないものは他にない。だろう。
十日町市で発見され、新潟県唯一の国宝である深鉢形土器(火焔型土器)は単なる容器としての鉢として作られたとは思えない斬新なデザインである。深鉢の周りの意匠に炎のように揺らぎがあり、日常使いにはあまりにも不便である。似たようなものが複数個見つかっているので、儀式などに用いたのだろう。古代の新潟県民たちは現代人も唸らせる美意識を持っていたことになる。
6月1日から7月12日までの期間、国宝57点すべてを展示する(入れ替えありなので一度にすべて見れるとは限らない)。コロナへの勝利の証しとして開催を待ちたい。