千葉県の香取市佐原で醸造業の家に育った伊能忠敬。50歳で江戸に出るまで佐原にいた。34歳で松島旅行、48歳で伊勢の旅に出たが、なぜか伊勢での旅では緯度・経度の観測を行っている。40歳前後で惑わず天文測量への道が見えていたのかもしれない。
その後、55歳から73歳で亡くなるまで、計10回の測量の旅を行い、死後に日本全図が完成した。正確な地図は現在の測量図と大差がなく、観測に用いた器具・技術から想像すると途方もない作業だったことが想像できる。現代風にいうと、定年後の老後の生業としては過酷すぎる仕事で、好きでないとできない。
各地の展示会でその地域にかかわる図面が時折出品される。足で稼いだ情報だけに、土地土地の名産もあれば旅路のお供に爆発的に普及したかもしれない。ただ、あまりにも正確すぎて防衛の観点から公開できない代物のため、現在まで綺麗に残った。