
これまで県単位で運営している歴史博物館を色々と見てきた。国立歴史民俗博物館はそれと同じ構成で、時系列に日本全体の歴史を展示していた。
日本の歴史にフォーカスを当てているということは日本の歴史教科書に準じることとなる。そのためもあってか、全国各地からの展示物が陳列されていた。と書くと本物がきているように思うが、大半が複製品であった。国宝の土偶たちや国宝の出土品、国宝の書跡、金印など、軽く数えただけで20件以上の国宝レプリカがあった。実物が集められたらプチ国宝展レベルになる量である。
県単位の歴博でも複製展示はあるが、国立であることもあり仕上がりが本物に近い。解説文にある複製の文字があって初めてレプリカだと気づくレベルだ。この複製のレベルでマネキンたちも作られている。そのため、古代の人々を再現したゾーンでは観客かマネキンか迷ってしまう域に達していた。恐ろしささえ覚える完璧さが国立歴史博物館にはあった。
国宝を観続けたことで、複製との出会いであっても非常に楽しめる内容であった。あの国宝は東京で出会った。あれは福岡、京博や奈良博でも見たなど、それぞれに思い出が蘇った。しかし、ここに来たのは国宝の実物を観るため。印刷文化のゾーンにお目当ての作品を展示していた。
宋版史記は印刷技術が格段に良くなった宋時代の書物。史記集解・索隠・正義の三注合刻本で全130巻が完存している現存最古の本である。南宋時代に民間の出版家である黄善夫が出した本で、書道の大家が書いたと思わせる書体を再現している。それまでの手書きの本では出来なかった厳密な校正をした出版物でもある。不朽の歴史書が正確な校正と印刷技術によって大量に生産できるようになり始めた頃の本を歴博で定期的に展示しているのはありがたい限りだ。かなり広い博物館で、展示数も多く、すべてをじっくり見ていると時間が足りない。見たいものを絞ってから、目に付いたものを見ていくスタイルの博物館であった。





