国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

日本書紀 前田育徳会

f:id:kokuhou:20190919165825j:plain石川県立美術館には国宝ファン垂涎の場所がある。前田家ゆかりのものを展示している1室である。本館2階、色絵雉香炉が置かれている第1展示室すぐ横にある前田育徳会所有物を展示する尊経閣文庫別館がそれである。

おおよそ2か月ごと、あるいは特別展や企画展に合せて展示物を入れ替え展示。前田家所有の国宝や重文が目玉として1点必ず展示され、それに合わせた名品を陳列している。この目玉展示品について、なにがいつ展示されるかは、毎年3月下旬ごろに発表される石川県立美術館の展示スケジュールを見れば分かる。そのため、春先には金沢行の日程が決まってしまう。

今回の展示は日本書紀。てっきり和綴じの書物だとばかり思っていたが巻物だった。経典や絵巻物などではお馴染みの形式だが、歴史書が巻物で書かれているのは新鮮だった。仁徳天皇ついて書かれた第十一巻が展示されており、結構長めに広げて展示していた。このほかではモーツアルとバッハの直筆楽譜が展示していた。美術品??ではないが、思わぬところで音楽史の1ページに触れられた。音符の解読がさっぱりなので、もし可能なら楽譜の音楽を流しながら鑑賞してみたかった。

色絵雉香炉 野々村仁清作

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「石川の美術〜美術館創設60年のあゆみ~」と題して、石川県立美術館で所蔵品の選りすぐりを一挙展示している。石川県、もとい加賀藩徳川幕府への恭順を示すため、武力に繋がらない伝統工芸品の作成に藩として力を入れた。そのため、今日でも素晴らしい工芸品を世に送り出している。その技術力を芸術として捉え美術館が60年かけて集めた展示物が一堂に会した。

とはいえ、近代工芸品で国宝指定を受けたものは全くなく国宝とは無縁の展示会。しかし、石川県立美術館には常設の国宝、しかも14件しか指定を受けていない陶器類の「色絵雉香炉」が常設されている。

国宝の陶器はほとんどが茶器や器。茶器の形や曜変天目の奇跡など再現し難いものが指定を受けている。しかし、色絵雉香炉の雄はその存在感が国宝となる逸品である。写真の奥が雄で、視線や尾びれの位置などでいままさに飛び出そうとする雰囲気がでており、躍動する寸前の静寂を表現している。国宝は雄の方だけだが、雌(重要文化財)はそれを見つめており、雄とともに羽ばたく機会をうかがっている。湖面に浮かび朝焼けを浴びた一風景を想像させる2羽となっている。

この香炉は単独の部屋にあり、ここだけが写真撮影OK。60周年企画で出ている作品には伝統工芸にシュールな芸術を入れたり、匠の技工を駆使したものなど加賀100万石の歴史が詰め込まれたものばかり展示されていた。そのほかにも、地階には歴史的な収集物や江戸時代の大家が描いた画家のものも見られて大満足の展示会だった。

太刀 銘光世作 名物大典太  前田育徳会

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2018年は京都で大規模な刀の展示会があり、2019年は福岡で侍の展示会が開催されている。福岡市博物館の展示は刀はもちろん、甲冑の展示にも力を入れており、侍装備に特化した展示会となっている。

しかし、大半の観客は刀剣女子。全国行脚を繰り広げているつわもの達が押し寄せており、男性は見る影もない。刀の展示を見る列が随所でできており、熱心な女性が食い入るように刀を観ている姿が印象的だった。

そのため、どうしても甲冑より刀に目移りしてしまう。なかでも天下五剣「名物 大典太」は入り口からすぐの位置に陳列されていた。ウェルカム刀(そんなのあるの?)にふさわしい美しさと迫力のある大きさだった。

金印

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うだるような暑さがぶり返したが、展示会的には秋のシーズンとなった。大型特別展が各地で開催されはじめ、シルバーウィーク、紅葉シーズンに向けて、旅の計画が進む。

その計画にかこつけて、常設展で必ず訪れたいものがある。福岡市立博物館にある金印だ。国宝の中で日本史の教科書の初めに出てくる人気展示品。各地で金印が出展されれば長蛇の列ができる。しかし、常設(展示会で各地を回っている時を除き)の福岡では200円で待ち時間なしで見ることができる。

金印を観た感想は「小さい」が圧倒的に多い。教科書などで観る金印は拡大されたもので、原寸は小指の第一関節よりも小さい。そこに文字が彫られているのだから、古代の微細加工の極致が詰まっている。また、本体が金であることも人気の秘密で、海外から来たと思われる観光客も「ゴールド~」と感激していた。歴史、見た目、技術の高さどれをとっても国宝間違いなし。

 

【京都名品展】宝相華蒔絵宝珠箱 附 四天王像板絵 仁和寺

いよいよラスト。

似たような経箱が続いたが、こちらは箱だけでなく、それを収めていた中身も展示。中には四天王がそれぞれに彫られた板絵で、簡易版で持ち運び式の四天王像。仁和寺には持ち運び式で国宝最小の薬師如来像の彫刻もあり、出先でのお祈りする機会があったのだろう。仁和寺展で多くの寺宝が出ていたが、天皇家が設立した寺院だけに内裏まで足を運んで祈祷した遺物かも知れない。

企画展は16日まで。こういった豪華な企画展は大歓迎。毎年とは言わないが、隔年ぐらいで企画して欲しい。

【京都名品展】宝相華蒔絵経箱 延暦寺

平安時代を代表する蒔絵経箱。シルクロードを通じて大陸から飛鳥時代から白鳳時代にもたらされた文様が日本様式に仕上がった。その文様は、蔓と葉と花を配して銀を金蒔きでデコレーションしている。さらに蓋裏は宝相華唐草文を銀蒔きするなど、金ぴかでゴージャスに仕上げている。

【京都名品展】宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱 仁和寺

空海の真筆で書いてある三十帖冊子を入れるための箱。真言系の宗派はもちろん、書道関係でも注目を浴びる空海の真筆を収めるために、技術の限りを尽くした出来栄えである。貴族たち好む蒔絵とは趣が違い、躍動的に花や鳥、蝶などが描かれており、平安時代アールデコ仕上げとなっている。ここの中心に天女が描かれていたらミュシャの日本版といってもよいぐらいだ。

国宝は2017年10月3日~11月26日が会期で無事終了した。 この展示会に出ていない800件以上の品々も見ていきたい。