国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

太刀 銘光世作 名物大典太  前田育徳会

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2018年は京都で大規模な刀の展示会があり、2019年は福岡で侍の展示会が開催されている。福岡市博物館の展示は刀はもちろん、甲冑の展示にも力を入れており、侍装備に特化した展示会となっている。

しかし、大半の観客は刀剣女子。全国行脚を繰り広げているつわもの達が押し寄せており、男性は見る影もない。刀の展示を見る列が随所でできており、熱心な女性が食い入るように刀を観ている姿が印象的だった。

そのため、どうしても甲冑より刀に目移りしてしまう。なかでも天下五剣「名物 大典太」は入り口からすぐの位置に陳列されていた。ウェルカム刀(そんなのあるの?)にふさわしい美しさと迫力のある大きさだった。

金印

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うだるような暑さがぶり返したが、展示会的には秋のシーズンとなった。大型特別展が各地で開催されはじめ、シルバーウィーク、紅葉シーズンに向けて、旅の計画が進む。

その計画にかこつけて、常設展で必ず訪れたいものがある。福岡市立博物館にある金印だ。国宝の中で日本史の教科書の初めに出てくる人気展示品。各地で金印が出展されれば長蛇の列ができる。しかし、常設(展示会で各地を回っている時を除き)の福岡では200円で待ち時間なしで見ることができる。

金印を観た感想は「小さい」が圧倒的に多い。教科書などで観る金印は拡大されたもので、原寸は小指の第一関節よりも小さい。そこに文字が彫られているのだから、古代の微細加工の極致が詰まっている。また、本体が金であることも人気の秘密で、海外から来たと思われる観光客も「ゴールド~」と感激していた。歴史、見た目、技術の高さどれをとっても国宝間違いなし。

 

【京都名品展】宝相華蒔絵宝珠箱 附 四天王像板絵 仁和寺

いよいよラスト。

似たような経箱が続いたが、こちらは箱だけでなく、それを収めていた中身も展示。中には四天王がそれぞれに彫られた板絵で、簡易版で持ち運び式の四天王像。仁和寺には持ち運び式で国宝最小の薬師如来像の彫刻もあり、出先でのお祈りする機会があったのだろう。仁和寺展で多くの寺宝が出ていたが、天皇家が設立した寺院だけに内裏まで足を運んで祈祷した遺物かも知れない。

企画展は16日まで。こういった豪華な企画展は大歓迎。毎年とは言わないが、隔年ぐらいで企画して欲しい。

【京都名品展】宝相華蒔絵経箱 延暦寺

平安時代を代表する蒔絵経箱。シルクロードを通じて大陸から飛鳥時代から白鳳時代にもたらされた文様が日本様式に仕上がった。その文様は、蔓と葉と花を配して銀を金蒔きでデコレーションしている。さらに蓋裏は宝相華唐草文を銀蒔きするなど、金ぴかでゴージャスに仕上げている。

【京都名品展】宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱 仁和寺

空海の真筆で書いてある三十帖冊子を入れるための箱。真言系の宗派はもちろん、書道関係でも注目を浴びる空海の真筆を収めるために、技術の限りを尽くした出来栄えである。貴族たち好む蒔絵とは趣が違い、躍動的に花や鳥、蝶などが描かれており、平安時代アールデコ仕上げとなっている。ここの中心に天女が描かれていたらミュシャの日本版といってもよいぐらいだ。

【京博名品展】金銀鍍宝相華唐草文透彫華籠 神照寺

籠の網目部分を工芸品として加工し、金銀で鍍金したもの。唐草文様は蔓植物が曲がりくねりながら無造作に伸びていく様を表したもの。古代ギリシャメソポタミアで意匠として使われていてシルクロードをを通じて、唐・朝鮮半島経由で日本にもたらされた。唐草文様というと緑をベースに文様の入った風呂敷がおなじみだが、実物を売っているところや使っている人は見たことない。泥棒がほっかぶりしているイメージがあるので、昔は誰もが簡単に手に入れることができたアイテムだったが、一時的なブームが去って見かけなった部類かもしれない。さて、神照寺の籠は奈良博でも展示されていて、こちらも華やかな草花が細工されていた。

【京都名品展】剣 無名 金剛寺

古代中国の歴史ドラマを見ていると両刃の剣を使っている。金剛寺の国宝・剣も両刃で日本刀に比べると刀身が太い。斬るというよりも打ち倒すために振られ、刃先で怪我をすれば儲けものぐらいの戦闘に使用した。日本刀のように片刃は切れ味が大事になり、加工技術の向上無くしては誕生しない。不動明王が持っている剣も両刃で、神の世界でも技術力は近世の日本に追いついていなかったものかもしれない。

国宝は2017年10月3日~11月26日が会期で無事終了した。 この展示会に出ていない800件以上の品々も見ていきたい。