国宝を観る

京博で開催される秋展・国宝を観るためのサイト

京都博物館で開催される国宝を楽しむため、出品される作品を独自に星付け。一言コメントあり。詳しい解説はリンクを参考に。

【国宝】四天王立像のうち広目天立像 法隆寺

彫刻全般は通期展示が多い。テーマはそれほど設けられず、作製時代が飛鳥時代から鎌倉時代まで時系列的に観ることができる。

その中で、法隆寺保有の四天王像は飛鳥時代のもので、彫刻技術は後世に見劣りしているが表現力は目を見張る。顔は面長で、漫才師で著書「ホームレス中学生」がベストセラーとなった麒麟・田村に激似。足元の邪鬼も目の大きいユニークもので、戦闘的な四天王像が多い中にあっては柔らかな印象を受ける。

どちらかと言えば菩薩に近い造りで、法隆寺を建立した聖徳太子の思想、和を以て貴しとなすことを像に秘めたのかもしれない。

国宝 Ⅱ期 観たい・コラボ

開幕直後は行列ツイートもほどほど待ち時間だった「国宝」展。3連休の初日こそ雨で人気の特別展並の混雑状態だった。ところが、夏日がぶり返し気温が上昇したことと比例したように人出もうなぎ上りになる。ツイートでは60分以上の待ち時間表示がちらほらと見受けられた。このままの調子だと11月の下旬には昨年の若冲展(東京都立美術館)で記録した待ち時間のバッケンレコード(たしか5時間超え)を更新しそうな勢いだ。

まあ、Ⅰ期が無事終わっただけで、この後の6週間も手抜き一切なし、怒涛の国宝祭が続く。

 

Ⅱ期

書跡 平安仏教2大スター 聾瞽指帰 空海

考古 Ⅰ期と同じ

仏画 Ⅰ期と同じ

六道 餓鬼草紙

中世画 雪舟 四季山水図の後半部分 狩野永徳

近代画 長谷川親子

中国画 禅機図断簡

彫刻 Ⅰ期と同じ

陶器 曜変天目 龍光院

絵巻物 華厳五十五所絵巻

染織 Ⅰ期と同じ

金工 紺糸威鎧

漆工 Ⅰ期と同じ

【国宝】無学祖元墨蹟

「国宝」展のⅠ期も本日が最終日。出品されている作品のなかで、相国寺所有のものは、承天閣美術館相国寺内)で見ることができる。無学祖元の墨蹟は4幅中、2幅がⅠ期のみ出品されている。だが残る2幅は美術館で引き続き見ることができる。

臨済宗相国寺派

禅林美術展と題して、墨蹟を中心に禅を題材にした絵画、茶道具などを展示している。今回の国宝展にも出品している作家がラインナップされているのもうれしい。国宝ではないが牧谿や周文、狩野元信などの絵画や、蘭淫道隆、竺仙梵僊の墨蹟を観ることができる。また、Ⅰ期に出品されていた玳玻天目茶碗が特別展示される。(国宝展期間だけ美術館で見ることができなかったと言ってもよいが…)近場なので、Ⅱ期以降を観に来るなら寄っておきたい。

【国宝】宮女図(伝桓野王図)

切り立つ山々、写実的な花々など中国画の傑作の中にあって、ポツリと佇んでいるのが宮女図。

ほんとうに2階のトリを飾る作品でよいのか。どこにでもいそうな宮廷の女性が一人だけ書かれていて、派手さに欠けるシンプルな構図。これまで2階で見てきた色あざやで金銀で彩られた仏画群や色の濃淡だけで世界の無限の可能性を感じさせる水墨画などと比較するまでもなく、単純なものである。

だが、なぜか人が集まる。それも再度見に集まる。通り過ぎたと思ったら、再び舞い戻り刮目して去る。これまで見てきた作品は見た瞬間に気持ちの高揚があり、次の作品を観るまで興奮状態になり、目移りした瞬間に別の高揚感に襲われる。しかし、宮女図は目には入るものの、見入ることもなく過ぎ去ってしまい、余韻を残す。そして、再び相まみえたくなる。

まるで、日本人の主食である米のようである。米は何にでも合う主食であるはずだが、メインはおかずに奪われる。いつも食卓に出ているため、気にも留めない。ところが、最高級の米ならばどうなるか。おかずありきの米が、米ありきの副食へと食べ方が変化する。米中心の食卓がどれほど贅沢なものなのか。想像するだけで垂涎ものだ。そんな最高級の米のような作品なのかもしれない。(パン食の方は高級パンで考えてね)

【国宝】風神雷神図屏風 俵屋宗達筆

言わずと知れた屏風におけるキング・オブ・キングは風神雷神図である。

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俵屋宗達が描いたオリジナルは建仁寺蔵で京博へ寄託されている。今回出品されているものはそれだが、構図があまりにも優美なため尾形光琳が模写(模写でも重文指定)し、酒井抱一が原本を知らずに模写を模写するほど琳派に愛された作品である。

図鑑などでよく見るものではあるが、意識しないで見ていることが多く、書いた時系列も意識せず誰が最初に書いた作品なのか分からないまま、ただ美しいと感じていた。

今回、初めて俵屋宗達のオリジナルを観たが、印象はかなり傷んでいるにつきる。金箔や神様たちの色ははげ落ちている部分が多く、艶やかな印象が崩れ去ってしまった。ほかの屏風作品にも言えるが、観賞用に作られたため、長年檀家などに見せ続けた結果、保存状態はよいとは言えない。それでも、クローズで観る分には気にならず、計算されつくした構図とイメージ夜色彩補てんで往年の優美さを想像させる。それに加えて、屏風そのものの大きさが観るものを圧倒しており、十数年前に薄型大画面テレビを家電屋で初めて見た時の感じを思い起こさせた。(なお、陳列されている屏風たちは決してハイビジョンの画質ではない)これこそ、展示会に来ないと味わえない醍醐味。

【国宝】吉祥天像 薬師寺

吉祥天像は奈良時代8世紀頃に作られたとされる。今から1300年以上前にも関わらず色彩が美しく残っている。色白の天子は浄瑠璃寺の吉祥天立像(こちら重文)でも感じたが、ふくよかな豊穣の女神だ。信仰の重要な日以外は大切に保管されていたことで、綺麗に作成当時の雰囲気を残している。

一方、先日観た西大寺十二天像などはぼろぼろで、奈良仏教の多くのものは戦災や天災で改めて文化財の保護の重要性を感じた。

【国宝】時雨螺鈿鞍 永青文庫

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螺鈿細工の超絶技法を用いているのが時雨螺鈿鞍。蒔絵の場合は時が経つにつれて摩耗などで色が褪せてくる。ところが螺鈿は貝そのものの光沢のため、物理的な破壊がない限り光沢を生み続ける。反面、光り輝く貝殻を加工するのだから、細かくなるにつれて難しくなる。それなのに時雨を表現しているのだから、高度な技術なくしてはできない。

黒々とした漆にそこはかとない時雨の螺鈿。周りが千代姫の嫁入り道具やら琉球国王関連など超派手なものが並ぶ中で、一瞬、見逃しそうになる。おそらく、他の展示会では中心になる逸品。格や技術は申し分ない、押しも押されもしない名品だ。それが、国宝が集まる展示会だけに、存在が控えめになってしまう。

国宝は2017年10月3日~11月26日が会期で、大まかに4期に分けて展示内容を変える。