国宝を観る

京博で開催される秋展・国宝を観るためのサイト

京都博物館で開催される国宝を楽しむため、出品される作品を独自に星付け。一言コメントあり。詳しい解説はリンクを参考に。

【国宝】薬師如来坐像 仁和寺

大乗仏教の場合、多くの人に観て拝んでもらう必要があるので、人の大きさより大きい仏像がほとんどである。奈良・東大寺の廬舎那仏などはロボットアニメもビックリな大きさとなっている。一方で、小さな仏もある。これも東大寺の誕生釈迦仏立像は50センチほどで廬舎那仏の鼻の穴に楽々入るサイズである。

国宝で最も小さい仏像は仁和寺薬師如来坐像である。秘仏中の秘仏で昭和61年まで開扉されなかった。そのため、衣などにところどころ金の細工が薄ら残っている。お堂の中にあるため間近で観ることがなかなかできない。360度じっくりと観ておきたい。光背の細かな彫り仏も含めて、小ささを確認できた。

【国宝】周茂叔愛蓮図 狩野正信筆

狩野派の祖とされる正信の作品。息子の元信が土佐派の娘を娶ったことで、大和絵の技法を得て、狩野派を確立した。

その前の絵で、狩野派と聞いてイメージする派手さはない。8代足利義政の御用絵師として、山水画の基本をきっちりと固めた絵を納めた。同じ部屋にある周文や如拙などと比較すると賛がないことに気がつく。絵として観ていたいため、賛を敢えて書かなかったのかもしれない。

正信以降、下克上の時代に突入して、狩野派は武士たちの需要増加に答え、多くの作品を残した。未来人の目から見ると才能があるのに生存時に売れなかったゴッホの絵を時代を経て観ている感じになる。

【国宝】白糸威鎧

国宝展では3種類の鎧を順次展示してきた。赤と紺はすでに終了。二つとも保管状態がよく、美しい加工技術が印象的だった。ところが、白は少し違う。加工技術はこれまで見てきた2つと比較しても申し分ない。だが、その加工している糸に文字が書かれている。また、正面にも文字がある。鎧を奉納するのにそこまで願掛けが必要なのかというぐらい細部にまで文字が書かれている。なにも鎧を使ってそこまでする必要があるのかと思ってします。巻物などで分納したほうが効果的なようなにも思える。

【国宝】両界曼荼羅図(伝真言院曼荼羅) 教王護国寺

大陸より空海が持ち帰った密教。その真理が曼荼羅にある。立体的に表現することがもっとも表しやすいようだが、大きな空間と製作期間が必要なこととと持ち運びに不便だ。

そこで図解したものが曼荼羅図である。言わば3次元表現を2次元にしたものである。これで、場所を選ばすに密教の神髄が堪能できる。と言っても両界を表すので2面が必要で、仏たちが放射線状と渦巻状の配置となっている。昔はやった片目でそれぞれを観ると立体に見えるといったことはない。

ひとつずつ図を観れば観る程、密教は宇宙を理解しようとする学問のように思える。仏の要素をなくすと、数学や物理になるかもしれない。当時最先端の科学だったとしたら、思想家・最澄空海が教えなかったのも理解できる。もし教えていたら、その後に続く数々宗教家たちが誕生しなかっただろう。

図を堪能した後は、教王護国寺へ行くべき。寺院内には立体的に仏像などを配置して曼荼羅を表現している場所が多数ある。図を観ただけでは理解できない部分も国宝級の立像たちを観ることで理解した気分になれる。

【国宝】懸守 四天王寺

今も昔もかわいいものはかわいい。懸守は現在のお土産屋で売っていても手に取りそうなかわいさがある。根付や印籠、香合など小さいけれども細工を凝ったものが多くある。その先駆けとなるものだろう。数年前に根付ブームが来たように、懸守ブームが到来するかもしれない。

【国宝】梅蒔絵手箱

今年の梅雨時に六本木・サントリーミュージアムで開催されていた展示会で大量の蒔絵手箱を観た。その中でも同ミュージアム所有の浮線綾螺鈿蒔絵手箱は単体でショーアップされた展示がなされており、修繕を終えた姫が帰還したぐらいの風格があった。

古美術ばかりの展示が多い中、昔のものは失われたが図面の残っているものを復刻した手箱も陳列されていた。新品なので輝きは美術品よりもあり、いくらぐらい出せばこの玉手箱が手に入るのだろうと思った。

さて、国宝展に出品されている梅蒔絵手箱の輝きは千代姫用の婚礼調度品のほうがある。ただ、デザイン性は断然、梅蒔絵のほうがよい。内容物の化粧道具がほぼすべて揃っているので、これを使って化粧した北条政子源頼朝の心を射抜いたと思うと、刀剣類に匹敵する武具を観ている気分だ。

国宝 Ⅳ期 観たい・コラボ

 

いよいよ残り2週間。東博での国宝展は十数年ごとに開催されるだろうが、京博(奈良博でもよいが)での開催は、数十年先となるかもしれない。来場者数40万人超えは確実で、今年ベスト5には入るだろう。 閉会を惜しみつつ、感傷に浸っている場合ではない。Ⅳ期も展示替えで観たい作品が目白押しだ。

 

Ⅳ期

書跡 三蹟

考古 Ⅲ期と同じ(金印を除く)

仏画 孔雀明王

肖像画 臨済の和尚たち

中世画 聚光院襖絵

近代画 燕子花100年ぶり里帰り

中国画 孔雀明王

彫刻 Ⅲ期と同じ

陶器 Ⅲ期と同じ

絵巻物 一字一仏法華経序品

染織 Ⅲ期と同じ

金工 Ⅲ期と同じ

漆工 Ⅲ期と同じ

国宝は2017年10月3日~11月26日が会期で、大まかに4期に分けて展示内容を変える。