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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【中国古典名品展】欧陽文忠公集宋版 天理図書館

欧陽文忠公集は欧陽脩の一連の作品を南宋の周必大がまとめたもの。欧陽脩は唐宋八大家の一人に数えられ、同じく唐宋八大家の一人である蘇軾を見出した。

天理大学付属図書館が所有する欧陽文忠公集は歴史的な発見につながった。欧陽文忠公集の初期刷りは天理のものに加えて、中国国家図書館と宮内庁が所有しているものがあり、それぞれを原刻本と称していた。比較するうちに、天理のものだけにある書簡96篇が見つかった。そもそも天理所有のものは鎌倉幕府が1259年に金沢文庫を設立するため、南宋に人を派遣して、大量の書籍を購入したもの。それが、中国本国や宮内庁のものにない書簡があるのは不思議である。調査すると、時系列的に中国や宮内庁のものは南宋皇帝への献上したものに近く、南宋の皇室に献上されたのちに追記されたのが天理バージョンであることが分かった。そして、献上されたものと齟齬がないように、追記バーションはきっちりと伝わって来ず、本国では部分的に残るのみとなった。云わば欧陽文忠公集の増補改訂版が天理のもので、献上版が中国や宮内庁のものであった。

さて、そんな欧陽文忠公集は版本には珍しく挿絵が添えられていたり、日本刀に関する詩が掲載されたりしている。木版印刷にも関わらず、綺麗に印刷されており、当時の技術水準の高さも分かる書跡となっている。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。