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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【東博150年】舟橋蒔絵硯箱 本阿弥光悦作

法隆寺献納宝物、考古、漆工のコーナーは中心に漆器、周りを囲むように法隆寺献納宝物と考古の国宝たちが並ぶ。ただ、漆器を展示する空間を演出するためか、大きな柱や幕などで仕切りがあり、全体的に見学できるスペースが狭くなっており、混雑していた。

法隆寺宝物館や、平成館の一角にある考古の展示スペースは、普段の展示では人がそう多く見てない。ゆったりとした空間のため、個人的には好きなのだが、特別展では賑わいが必要なため工夫したのだろう。普段ならば独り占めできる法隆寺関連や考古を時間をかけて見るよりもここでは漆器に注目した。

部屋全体は少し暗めで、こちらは漆器の金細工がスポットライトで目立たせる演出。舟橋蒔絵硯箱は蓋が盛り上がって鉛板を大胆に配置することで、川に架かる橋に見立てる斬新さデザインに作り上げた。そこに歌文字の配置して古典と工芸の融合。本阿弥光悦の真骨頂である蓋はフラットという既成概念の打破と鉛板を大胆に配置する勇気、そこに古典の知識に裏付けたデザインが見事にマリアージュし完成した作品となっている。古い国宝に囲まれて中心にあって古典復古とも言える斬新な硯箱である。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。