国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

八幡三神坐像 薬師寺

さて、大安寺展も残り1室。寺宝の数々がお目見えしていたが、この部屋には神社のお宝が出品されていた。なんでも空海が大安寺の別当に補されていた頃に神仏習合が進んだそう。その風潮を取り入れ、大安寺は859年に八幡神を勧請し、八幡宮(現・元石清水八幡宮)を東塔の北側に建立した。ところが、時代はすでに平安仏教全盛を迎え、密教ブームが到来していた。そのため、勢力拡大にはつながらず、逆に火災や落雷などで伽藍の再建に余力を割かれ、ついには興福寺の末寺となってしまった。

大安寺と同じように薬師寺には八幡三神坐像が伝わる。薬師寺の南大門を出たところに休ケ岡八幡宮がある。宇佐八幡宮より勧請した。その神像が国宝となっている。僧形八幡神を中心にし、神功皇后、仲津姫命を配した三神一具の像である。最古の神像彫刻で、大きさは30cmほど、彩色がかなり残っており、壊れた部分もなさそうなので、近代まで非公開だったのだろう。どれもホリの浅い東洋系の顔で、熊野速玉大社大神坐像たちや、法隆寺聖徳太子像たちの路線をいく彫刻となっている。密教によって仏教美術が開花した時代にあって、神社の美術の重厚にいかない奥ゆかしさを感じる。

 

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。