大安寺展で三宝絵詞と入り口を挟んで反対側に長谷寺の法華説相図が展示されていた。ちょうど長谷寺に行ったところで、奈良博へ寄託されている寺宝がお出まししていた。
法華説相図は銅板に千体の仏像を鋳出・押出などの金工技法によって浮き彫りで表現し、下方に造立の由来などが陰刻された銘文がある。書体から7世紀から8世紀のものとされ、同時代のものとして仏を表現する上で石に刻んだり、紙に書いたりすることは多いが、これほど凝った工芸的なものは他にない。美術史、書道史、金石学、金属工芸技術研究などの分野で一級品の歴史的資料となっている。
さて、法華説相図自体は銅板に仏像が突起して配されているため、時代を経て剥がれ落ちている部分があった。それでも多くの部分が残っていた。これは長谷寺で秘仏として公開されることがなかったおかげだ。