国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

八角三重塔 安楽寺

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上田駅から上田鉄道別所線で終着駅の別所温泉駅へ。そこから歩いて十数分で、安楽寺に着く。国宝を観るには拝観料を払った先の小高い場所にあり、それ以外は開放していて、ゆっくりと見学できる。塔は入場すると右手すぐに見える。四重塔に見えるが最下層は裳階で三重塔となっている。

少しの階段を登るだけで塔の正面へ。塔で八角仕上げとなっているのは珍しく、あまり見たことがない。現存する近世以前の八角塔としては唯一のものだそうで、国宝指定も納得。中国宋時代の禅宗様式で、頭の中で朱色に補正するとなんとなく中国にありそうな塔に思えてきた。

2004年の調査で、1289年に伐採した木材が初重内部の蝦虹梁に使われていることが判明。そのため、国宝の禅宗様式では1320年建築の功山寺仏殿を凌ぐ日本最古のものである可能性が高くなった。松本城と共に1952年に長野県では最初の国宝を受けたのは伊達ではなく、推挙した当時の文化財担当者の慧眼と言える。

それとは対照的に、周りが温泉街と言うことで寺院に来るのは観光客が多く、「興味はないが見ておくか」ぐらいで登ってきている人ばかり。口々に「なぜ国宝なのか」や「四重塔の間違いでは」など、ぼやいてすぐに降りてしまう。少しは興味をもってパンフレットを読んで鑑賞しないと、お金と時間の無駄となる。某アトラクション系のランドが分かりやすい観光地として人気なのも納得してしまう、悲しい現実を目の当たりにした。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。