畠山記念館の名品、前期ラストの作品は藤原佐理の離洛帖であった。
藤原佐理は草書の名人として平安の三蹟に数えられる。その佐理が都(京)から大宰府へ赴任する途中で書いた手紙が離洛帖である。京(洛)から離れた際に摂政・藤原道隆に赴任の挨拶を怠ったので、その侘びの取りなしを依頼した内容だ。人事が不満だったようで、挨拶せずに行ったのだが思い直して非礼を詫びたいとのこと。筆は達が気性が激しいの性格のようで、冷静になった際に書いた不始末のわび状がいくつか残っている。
離洛帖を見る限り文字のうまさがあまり分からない。ただ、天皇最大の行事のひとつである大嘗祭の屏風の色紙型を書きをしたなど、当時の国内随一の能書家であったことは間違いない。一度、畠山記念館で観たことがあるが、京都で見ると感慨深い作品である。