東京2020オリンピックの「2020」は映画配給会社の20世紀フォックスや鳥取の20世紀ナシと同じ記号の意味で使われ続けている違和感を覚えつつ、京博のオリュンピア×ニッポン・ビジュツ展を観に行った。
コロナがなければオリンピック開催1か月前なので、京都観光→オリンピック観戦に来ている外国人がオリンピック関連の展示と間違えて訪れて来ていただろうが、来場者は普段の企画展規模のまばらな展示会だった。
3階の展示はいつもの焼きものや古代の常設展で、1階の彫刻も春の唐招提寺展から引き継いだものだった。2階と1階各部屋が企画展会場となっている。1か月後には京の国宝展が控えているためか、京都らしい展示が目立つ。
神々に普段の鍛錬を捧げるための儀式がオリンピックで、その意味では神社に寄進した古神宝類はオリンピック精神に合致している。平安時代に広まった熊野詣で、阿須賀神社に捧げた品々が国宝となっている。おそらくは京や奈良の神社にも同じようにしていたのだろうが、戦災があったり、新しいものが献上されたときに他の寺社へ下賜したりしたため、散逸しているので古くからの物が一式は残しつらい。和歌山の奥地にあったことが幸いしての国宝指定となっている。当時の匠の技や貴族の風習が分かる貴重なもので、一度に15点を観ることができるのも企画展ならではだ。