南国らしい華やかな色合いと細かな細工が特徴の琉球細工。中国大陸と日本との間で、それぞれのよい文化を貿易の中継地点として取り込み醸成した傑作である。
それらを生み出せたのは琉球が王国として独立していたことも一因となっている。最高級の琉球文化は王家である尚一族の身の回り品として使用されてきた。痛ましい戦争によって沖縄の文化財はことごとく焦土の藻屑となった。
文化財がなぜ残っているかというと、琉球王家は明治維新後、華族として東京に強制移住させられた。その時に一緒に東京へ持ち込まれたため残っている。
琉球王家の末裔・尚裕は、先祖代々受け継いだ家宝を大切に保管。戦後は一個人として大切に管理してきたが、多くの経費が掛かるため断念。寄贈するにあたり、保管環境が整った台東区へと考えたが、沖縄県民から反発を受けて1996年那覇市への寄贈となった。
その後、国宝指定となり沖縄の宝となった。首里城の火災からもうすぐ1年。改めて文化財を大切に保管・管理することの重要性を感じるとともに、あるべき場所で見ることができる喜びを味わいたい。