出雲のお目当てが秋野鹿蒔絵手箱だったが、大和の目当ては七支刀だ。
奈良・天理にある石上神社は拝殿が国宝。参道や社殿の周りは高い木々で覆われていて、外部とは一切遮断しており、神聖な空間を演出している。一方で境内には鶏が放し飼いされており、どこか牧歌的な雰囲気もある。
そんな石上神社の国宝にはもうひとつ七支刀がある。形状は独特で諸刃の剣の左右に枝のように3本ずつ(計6本)、L字型の剣が伸びている。その剣の中心にいわれが書かれていて、百済王が倭王に贈ったと解釈できる。歴史的な内容が書かれた剣が古墳時代の倭国と百済の関係を紐解き、白村江の戦いへと繋がる。
文字が明ける前の古墳時代に栄えた出雲と大和。平安時代を境に文明が歴史を書き綴ってきたことで、歴史は聖徳太子以前・以後で語られることが多い。不思議が多い古墳以前の歴史を知りうる貴重な展示会だった。