国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

無隠元晦あて法語 馮子振筆

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国宝書跡で一番観てワクワクするのは、禅僧が活躍した鎌倉から室町の墨跡である。経典は格式ばった書き方で同じように写経していて面白みに欠ける。一方で和歌は美しさはあるものの読めないことも多く、書というより曲線の集合体に思えない。

その点、禅の墨跡は基本には忠実で読めない文字で書くことは少ない。(後世になると芸術性に富んだものが増えて読めなくなるが…)ただ、習字のお手本通り書くのではなく、勢いをそのまま字に乗せて書いている。スピード感が現れた筆使いは書き手の気持ちが読み取れるようで観ていて興奮を覚える。

東博内の東洋ミュージアムの1コーナーで開催している「中国書画精華」には4つの国宝が出ていて、そのうち2つは書であった。東福寺の禅院額字は大人の事情で写真撮影は不可だったが、東博所有の3つはOK。元の官僚だった馮子振が書いた日本からの留学僧である無院元晦にあて法語を展示。七言絶句で三首も法語をさらさらっと書き上げて渡したもの。大陸の優秀な官僚が田舎から来た禅僧の求めに応じて事も無げに仕上げた感が満載。軽い筆使いが優秀さをひけらかす意図がないことを物語っており、真の秀才の書は国宝にふさわしい。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。