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【美のたからばこ 松濤美術館】 歌仙歌合 和泉市久保惣記念美術館

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渋谷区立松濤美術館は区立美術館とは思えない充実した展示会を企画している。西洋・東洋問わず企画していて、一度は訪れたい美術館だった。そして今回久保惣美術館の名品が渋谷で観られるとあって訪れた。

渋谷区松濤という場所自体を知らず、渋谷=スクランブル交差点=繁華街としか認識していなかった。しかし、行ってみると高級住宅地で、近くに日本有数の繁華街があるとは思えない静けさがあった。松濤は佐賀・鍋島藩の屋敷があったところだそうで、明治維新勝利者である薩長土肥の”肥”前が現在の佐賀なので高級住宅地になる素地があったのだろう。

そんな地域にある美術館だが、周りの住宅がどれも大きく高さ制限があるようで、美術館もそれに溶け込むように建てられている。1階は事務所などがあり、2階と3階が展示会会場となっている。久保惣の集めた名品たちは2階に絵巻物や浮世絵、中国画など東洋画、3階が工芸品と書となっていた。国宝は3階で青磁 鳳凰耳花生 銘 万声も展示していた。

お目当ての歌仙歌合は奥の個室ぽい場所にあった。書の展示スペース中央に鎮座していて、藤原行成の書と伝わっている。30人の歌を選定して書いたものだそうで、現存する唯一の古写本となっている。京博でみた36歌仙は絵巻物を断裁したもので、歌集も茶室に飾るため断簡となったものが多いが、歌仙歌合はその難を逃れた貴重なものと言える。白金などと同様、高級住宅街での美術鑑賞はステータスが上がった気持ちになり満足感も増す。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。