広島県歴史博物館(ふくやま草戸千軒ミュージアム)は2019年で開館30周年を迎えた。安芸、備後の各城に新君主を迎えて400年記念イベントと合せるように「戦国から争乱 太平の世へ」展を開催している。
戦国から江戸初期の安芸と備後の歴史を紐解く内容で、毛利家から福島正則、浅野家と水野家へと続く資料を展示している。目玉は平家納経。福島正則が修繕のため、俵屋宗達(と伝わっている)に依頼したもの2巻を前後期に分けて展示。風神雷神図屏風や本阿弥光悦とのコラボ巻物など、数々のヒット作を生み出す宗達が修繕もしていたとされることに驚く。大ヒットの作への序章、下積み時代のノンクレジット作品が国宝というのも、最初から評価が高かったということなのだろう。事実かどうかは別にして、平家黄金時代と時間を超えて宗達がコラボしたと想像するだけでわくわくする。福島正則の依頼(たまたまかもしれない)が美術史の奇跡を現代に観ることができる貴重な機会だった。