書や仏教の展示で経典が陳列されていることがよくある。そして、ご多分に漏れず意味も分からず、読み砕くこともできないので、ほとんどの場合は文字を眺めて終わる。その時の感想は決まって「うまい文字を書くものだな」。で、その文字は専門の職人がいることと、その方々が書いているということを数年前に知った。完璧に書いたらボーナスが支給され、失敗すると罰則金を取られるそうで、パソコンの文字入力でも間違いが多いので到底勤まらない職業である。
さて、職人は職人でもこちらのお経は仏師が奉納したもの。国宝彫刻の第一人者である運慶が奉納した日時が分かる貴重な資料で、彫刻にも自分の名前を彫るぐらい自己顕示欲が強いからこそ現代まで残るものが造れる。