東京の多摩地区は中心部の大開発のあおりを受けて、住み場所として人が流入している。そのため駅前の開発は進み、新興住宅街として発展してきた。
普済寺のある立川も駅前はビル群が建ち並ぶ大都会で一通りのものはすべて買い揃えられる。しかし、寺のある最寄駅(モノレール)柴崎体育館前に降り立つと、一戸建て住宅が並ぶ閑静な場所となる。なお、立川駅からも歩いていけない距離ではない。
柴崎体育館前駅から西へ歩くこと十数分。住宅街の一角に普済寺が現れる。巨大灯篭がある参道らしき入口からは広い駐車場と墓地、正面に楼門と閻魔堂が見える。楼門を潜ると新築に近い本堂がある。なんでも平成7年に放火されて全焼したため、10年の歳月を費やして再建されたので真新しいようだ。火災で寺宝も焼失したのが残念だったが、目的の国宝は無事だったようだ。
さて、目当ての国宝・六面石幢だが、本堂の横にある出入り口付近に矢印で国宝はこちらと案内板が出ている。それをたどり、墓地にも案内板。本堂裏手の池泉式庭園を見つつ、案内板はさらに奥へと催促する。たどり着いたのは境内の端。すぐ先は崖になっていて、中央線や多摩川が見渡せる絶好のロケーションに、ガラスで囲まれた建物がある。国宝を覆う建物だ。
六面石幢は阿吽の仁王像と四天王像を板石に刻んで組み合わせたもの。近くでじっくりと拝見したいのだが、覆屋により眺めるだけ。ガラス窓は綺麗ではないが、年末に掃除されて以降は手入れをしていない様だった。国宝単独のガラス張り屋家はガラスの汚れ具合と日光の角度によっては見えにくくてしかたがない。彫刻の細かさなどじっくり見たいが無料なので贅沢は言いえない。