平成の国宝指定でそれまで指定されていない分野が積極的に昇格指定いる。それは土偶などの考古分野である。
昭和の国宝指定は聖徳太子以前のものに関しては、積極的に国宝へと昇格させることはなく、中世以降のいわゆる「文字」文化が確立し、年代が間違いないものが中心だった。年代確定の問題は炭素年代測定の普及により、おおよその作成年代が確定できるようになり、解決したことで指定の足かせはなくかった。
そして、前衛芸術家たちの土偶や土器の調度品を越えた芸術性を高く評価する声とともに、国宝指定に弾みがつき土偶単独で計5点が指定、土器や出土品の一括指定も増えた。記憶に新しいところでは、東博で平成最後の夏の特別展が縄文時代だった。これは意図的に平成国宝史を総括する意味もあったかもしれない。