国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

巧山寺

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今年は明治維新150年。薩摩を訪れたのならば、長州にもいかねばなるまい。そして、長州の国宝のひとつである功山寺の本堂を見逃すわけにもいかない。

功山寺は七卿が落ち延びた場所であり、高杉晋作ゆかりの地である。明治維新の夜明け前を演出した最高の場所である。長府駅からは少しはなれば小高い場所にあり、隠れるのに持って来いの場所である。寺院近くのバス停は神鋼の大きな工場が海辺にあり、その社員のために商店街らしきものがある。ただ、どこもそうだが近くに大型ショッピングモールができたことから、寂れてしまっている。

寺は寂れた商店街を超えた山辺にあり、そこまでの道中は古い街並みを残しており、観光ポスターにも使われる名所となっている。古い街並みを過ぎて曲がったところに寺院の入口がある。地域の寺院と会ってこじんまりとした三門があり、階段を駆け上がると正面に国宝の本堂が現れる。禅宗様式を代表する建物で、美しい屋根の反り返り部分などは京都の大寺院にも引けを取らない。

ところが全然迫力がない。それは、左手に本堂よりも大きいコンクリート製の元博物館があり、雰囲気を台無しにしているからだ。長府が海に近く土地が狭いためここに建てたのだろう。だからといって、和の敷地内に洋風建築を建てる行政のセンスがない。そればかりか、古い町並みは道が狭く、車が通りにくい場所のため、集客を目的とする博物館は不向きな場所である。そのことに気がつき、十数年前に交通の便が良い場所に新しい博物館を建築してお役御免となった。

あとは解体するだけのはずが、新たな問題が持ち上がった。この元博物館は戦前の博物館として現存している貴重な建物のため、有形文化財に指定されているのだ。本堂のことだけを考えるとないほうがよい。なので、ぜひ元博物館の方はしかるべき場所へ移築してみんなに見てもらってほしい。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。