真言宗の宗主者である空海。かなりファンタジー寄りの主演映画も現在公開されている。この前まで東博で開催されていた仁和寺も真言宗で、この宗派の寺宝の多さには驚かされる。
そんな中でも空海の自筆の書は派閥形成にはなくてはならないアイテムだろう。醍醐寺にもあり、大日経疎を要約して書かれたものが本書。空海が遣唐使で大陸に渡りいくつもの経典を運んできた。そして、原書を運ぶと量が多くなるので三十帖冊子のように小さくするか、抄録にしてまとめる必要があった。考え方がラジカルな空海ならではの発想で堅物の僧侶たちにはできない芸当だろう。山師としての家系に生まれ、語学に才能があり、商売の才能もある。