大陸より空海が持ち帰った密教。その真理が曼荼羅にある。立体的に表現することがもっとも表しやすいようだが、大きな空間と製作期間が必要なこととと持ち運びに不便だ。
そこで図解したものが曼荼羅図である。言わば3次元表現を2次元にしたものである。これで、場所を選ばすに密教の神髄が堪能できる。と言っても両界を表すので2面が必要で、仏たちが放射線状と渦巻状の配置となっている。昔はやった片目でそれぞれを観ると立体に見えるといったことはない。
ひとつずつ図を観れば観る程、密教は宇宙を理解しようとする学問のように思える。仏の要素をなくすと、数学や物理になるかもしれない。当時最先端の科学だったとしたら、思想家・最澄へ空海が教えなかったのも理解できる。もし教えていたら、その後に続く数々宗教家たちが誕生しなかっただろう。
図を堪能した後は、教王護国寺へ行くべき。寺院内には立体的に仏像などを配置して曼荼羅を表現している場所が多数ある。図を観ただけでは理解できない部分も国宝級の立像たちを観ることで理解した気分になれる。