等伯の松林図とは対極をなす力強さ。狩野派の描く荒々しい太い幹とは一線を画す繊細さ。太い幹に繊細さを兼ね備えたハイブリット型の松図である。
そもそも松の幹になる部分は下地のままで、なにも描かれていない。風景の基礎となる金泥を塗る段階で幹となる部分を残し、その上に葉っぱや幹の境目などを書き加えて完成させた。残った下地はすべて雪に見える。墨と金泥、下地の3つの要素を見事に計算し尽くして仕上げた二色図の最高傑作である。
また、松林図屏風と雪松図屏風を対面に配置した展示もすばらしい。屏風は大きいので離れて観るため、左右に首を振るだけで対比して楽しめる。