美術館や博物館で何本も日本刀を観てきた。それでも刀を観ただけでよさや違いが分からない。
刀や装飾類を含めて100を超える国宝指定がある。装飾類は圧倒的な芸術性で指定されることで納得できる。平安期までの古刀も貴重性で指定されており分かる。ところが鎌倉期以降がわからない。重要文化財と国宝指定の間になにがあるのか。不思議に思う。
しかし、短刀 銘 左/筑州住は芸術性と歴史的貴重性を兼ね備えた名品であることが理解できた。見た目で持っていたいと瞬時に思える美しさ。とくに波紋が瀬戸内の白波のように穏やかさがあり、観ていて飽きない。秀吉から2代将軍秀忠、紀州藩へ受け継がれ、歴史の中心にあった刀であることで、国宝指定も納得。