「国宝」展は出品作品がすべて国宝という縛りがある。また、2017年の展示は12ジャンルごとに展示する試みで、学芸員の交渉の苦労は並大抵のものではなかったと思う。中でも陶磁器は国宝が14点しかなく、おのずと展示できるものが限られている。
その苦労の証が期間Ⅱの空白だろう。他の期間は4点展示となっているのに対して、Ⅱだけが3点の展示(の発表)となっている。なにが欠けた(発表できない状態な)のかは、ずばり天目茶碗である。国宝指定の仁清の作品2点のどちらかがⅡに来るのならば、両作出品へと力を入れそうだが、その気配はない。その他の天目茶碗以外の陶磁作品が来るのならばすでに発表があってもおかしくない。
並びとして玳玻天目と油滴天目の間に来るものは天目で曜変しかない。3つある曜変天目は春に藤田美術館所有、初夏に静嘉堂所有がそれぞれの美術館で展示された。秋に狙うは龍光院の秘宝の曜変天目となる。そのため、期間Ⅱが空いた状態になっている。
今回、龍光院が持つ国宝4つ(建物は除く)の内、2つが出品される。ともにⅡ期出品となるので、持ち出し時(京博からの距離は近いので、同時期である必要はないが)にいっしょに持って来て、いっしょに返すことも考えようによっては可能だ。ちなみに残る密庵咸傑墨蹟は今年の東博・茶の湯展へ出品された。
もう一つ思考遊戯として期待する理由は、9月6日現在の出品発表数は209。もし、天目が出品されたら210となり、数字を入れ替えると120周年と合致する。数字遊びとしてはあり得る。
単なる待望に過ぎないが、この機会を逃すといつ天目茶碗コンプリートが達成できるのか分からない。期待と不安を抱きながらⅡ期へ訪れたい。