国宝展の予習として、奈良博の源信展へ行く。前期の目玉だった六道絵は国宝展へ出品されるが4幅ずつを入れ替え2回、計8幅を観ることができる。ここが国宝展の限界で、200件近いものが期間内に展示されるとはいえ、1件当たり複数が指定されている場合は場所の関係ですべてを展示するわけにはいかない。
ということで、一度に15幅すべて見ることができた前半期に行く。展示はまず源信についての略歴の分かるものから、横川での思想の土台構築などを紹介。清凉寺の文殊菩薩像・普賢菩薩像や醍醐寺の往生講式など国宝があるものの、人だかりは次のコーナーに集中している。それは壁一面一五幅すべてが掛けられた六道絵。地獄をストーリー性をもって絵巻物の要領で紹介したもので、順番にみることで階層ごとに恐怖が増すという演出。一幅内でも様々なストーリーが各所に描かれ、これも絵巻物と同様の手法。すべてに動作があり、仏や肖像画など静的な絵とは対照的だ。
一幅ずつ観てもよいものだが、観るならば一五幅一度に観たい。
期間 ⅠⅡ