国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

書跡

【東博150年】細字法華経

東博150周年記念展の第二会場の刀剣の間は入れ替えなしの全期間展示だったので、入れ替えがあった国宝は第一会場にしかない。 漆工部門はすべて入れ替わった。片輪車蒔絵螺鈿手箱と八橋蒔絵螺鈿硯箱は三井記念美術館で開催していた大蒔絵展から続けて展示さ…

【東博150年】碣石調幽蘭第五

書の部屋では、書跡で人気ナンバー1の古今和歌集のみが全期間で展示されていた。その他はすべて入れ替わっていた。その中には京都帰りの圓悟克勤墨跡・印可状と虚堂痴愚墨跡法語もあった。 現存する最古の古琴の楽譜である碣石調幽蘭第五も後期のみの出品。…

後二条殿記 陽明文庫

新選組展で賑わう京都文化博物館では常設展で陽明文庫の名宝12を開催していた。新選組は見ずに陽明文庫だけを見に行ったが、ガラガラだったのが残念だった。 陽明文庫は五摂家の筆頭にあたる近衛家に伝来した史料を保存するために創られた。近衛家の遠祖にあ…

【仏法東帰】金光明最勝王経 奈良国立博物館

大徳寺から北大路バスタターミナルまでの便は頻繁に出ている。北大路駅すぐには大谷大学があり、博物館では仏法東帰というテーマで展示会を行っていた。 大学の博物館は独立した建物として大々的に構えるものも増えているが、大谷大学は構内の施設内に置いて…

【中国古典名品展】欧陽文忠公集宋版 天理図書館

欧陽文忠公集は欧陽脩の一連の作品を南宋の周必大がまとめたもの。欧陽脩は唐宋八大家の一人に数えられ、同じく唐宋八大家の一人である蘇軾を見出した。 天理大学付属図書館が所有する欧陽文忠公集は歴史的な発見につながった。欧陽文忠公集の初期刷りは天理…

【中国古典名品展】劉夢得文集宋版 天理図書館

中国の古典書と言えば漢詩で、学生時代に悪戦苦闘した苦い記憶しかない。唐時代から科挙に受かれば官吏となれるようになった。そこで、官吏としての優秀さは仕事ができるだけでなく、嗜みとして遊興も一流が求められるようになった。官僚文人として書画や音…

【中国古典名品展】南海寄帰内法伝 天理図書館

大学で国宝を所有しているところはそれほど多くない。東京大学が島津家文書、早稲田大学はつい最近公開があった礼記子本疏義と玉篇、東京芸術大学にも絵因果経と観世音寺資材帳、慶應義塾大学の秋草文壺は東博で頻繁に展示されている。地方では東北大学が類…

後宇多法皇宸翰東寺興隆条々事書御添状 東寺

東寺宝物館の2022年秋の特別展示会のテーマは大河ドラマに引っかけた「鎌倉時代の東寺– 弘法大師信仰の成立 –」であった。鎌倉と京を結ぶ糸が大師信仰にあるというより、後嵯峨天皇の政治に対する執着があればこそ、大師に結び付いたと思える。 鎌倉幕府…

倭漢朗詠抄 太田切 静嘉堂文庫美術館

世田谷にある静嘉堂文庫美術館の品々が東京駅からほど近い場所で観ることがようになった。場所は丸の内の明治生命館で、その名も静嘉堂@丸の内。三菱1号館美術館は道路を挟んですぐの区画にあり、三菱系美術館のコラボ企画が期待できそうだ。 さて、丸の内…

【東博150年】古今和歌集 (元永本) 上帖

NHKでは「東京国立博物館のすべて」に合わせた番組が矢継ぎ早に放送されている。BSプレミアムでの開幕直前の会場での内覧生中継を皮切りに、英雄たちの選択、歴史探偵、日曜美術館と切り口を変えて紹介した。そして今後は、チコちゃんに叱られる!で取り上げ…

【茶の湯】虚堂智愚墨蹟 法語 

東博の150周年記念展示会とほぼ同時期に、京博では茶の湯展を開催している。千利休の生誕500年を祝う企画で、国宝・重文クラスがこれでもかと展示している。 茶の湯展の前期には150周年記念展を控えている東博所有の国宝が登場していた。虚堂智愚墨蹟の法語…

【専修寺展】西方指南抄 親鸞筆、三帖和讃 親鸞筆

三重県にある高田本山専修寺の宝物館の改修工事がもうすぐ終わる。そして、2023年は親鸞聖人生誕850年の記念イヤー。すでに京博で2023年3月25日より「親鸞 生涯と名宝(仮)」が開催されると発表があった。専修寺の国宝は公開されるのかとネットサ…

【東博150年】賢愚経断簡(大聖武) 伝聖武天皇筆

聖武天皇宸筆の伝承があるもので、1行12字前後の堂々とした大字で書写されているものを大聖武と呼ぶ。大聖武は手鏡の最初に貼るものとして、日本の書で最重要とされる。紙が貴重な時代に、大きな文字で書けること自体が高貴にほかならない。のちの禅宗の扁額…

【東博150年】寛平御時后宮歌合(十巻本) 伝宗尊親王筆

近衛家に伝来した十巻本歌合の一部で、その巻第四に含まれているので「十巻本」とも呼ばれる。歌合せは左右1首ずつ組み合わせた短歌の優劣を競う行事。宇多天皇の代に皇太后が主催した歌合せ計200首からなる。 レア★☆☆観たい★☆☆コラボ★☆☆ 公開期間:後期 emu…

【東博150年】延喜式

平安時代中期に律令の施行細則をまとめた法典が延喜式である。全50巻からなるが、古写本は27巻分が現存し、1巻を除く残りすべては平安時代後期に書写された現存最古の写本が国宝となっている。九条家に伝わってきたことから九条家本という。 レア★☆☆観たい★☆…

【東博150年】法華経方便品(竹生島経)

琵琶湖の北の方に浮かぶ竹生島に奉納された経典。もとは法華経8巻がそろっていたと思われるが、現存するのは、方便品の1巻と、宝厳寺に残る折本仕立ての序品の1帖だけけ。湖に囲まれた島への奉納のため、上質な紙に文様を描いた上に写経されている。 レア★☆☆…

【東博150年】円珍贈法印大和尚位並智証大師諡号勅書 小野道風筆

円珍は死後36年目の延長5(927)年に、醍醐天皇から法印大和尚位と智証大師(ちしょうだいしの諡を贈られた。この時の勅書が国宝で、執筆者が三蹟として知られる小野道風ということで、二重の意味で希少性が高い。 レア★☆☆観たい★☆☆コラボ★☆☆ 公開期間:前期…

【東京150年】円珍関係文書

円珍が入唐する前後の関係資料が国宝となっている。8巻あり、自筆の書状のほか、円珍の経歴を示すもの、唐への出発にあたって発行された証明書などがある。日本の僧が大陸に渡った記録としても貴重だが、円珍の書き残した書としても歴史的に価値が高い。 レ…

宝簡集 金剛峯寺

高野山霊宝館開館100周年だった昨年、年間パスポートを購入して期ごとに楽しむことが出来た。周年展示が終わり、足が遠のく中、パスポートの期限切れを前に霊宝館を訪れた。 展示は鎌倉時代の高野山と題して、NHK大河ドラマに合わせた展示内容となっていた。…

【東博150年】元暦校本万葉集

平安時代に写本された万葉集で有名な5つのうちのひとつ。「桂本」「藍紙本」「金沢本」「天治本」がある中で、歌の数が一番多く収録されている。奥書に元暦元(1184)年に校合したと書かれていることから名づけられた。 紫と藍の飛雲をすき込んだ紙に、万葉…

【東博150年】群書治要

中国・唐時代の631年、太宗の命によって編纂した政治参考書の写本。平安時代中期に唐時代の写本に基づいて書写された現存最古のもの。中国の典籍が色紙に書写されたものはめずらしく、断簡としても重宝された作品。政治の指南書が美術的な価値も付加して作ら…

【東博150年】秋萩帖 伝小野道風筆

草仮名の代表的な作品で、平安書物の代表のひとつ。流れる文字の美しさに加えて、様々な色紙とその仕上げのデザインは断簡状態でも見とれてしまうのに、原形を留めた巻子本として見ることが出来る。 レア★☆☆観たい★☆☆コラボ★☆☆ 公開期間 後期 emuseum.nich.g…

三宝絵詞 東京国立博物館

奈良国立博物館で行われていた大安寺展に行った。 奈良には有名な寺院が多く、大安寺と聞いてもピンとこない。しかし、その昔は南都七大寺院(東大寺・興福寺・元興寺・西大寺・薬師寺・法隆寺(斑鳩にある法隆寺に変わり唐招提寺とする場合あり))のひとつ…

【東博150年】古今和歌集(元永本)

最初の勅撰和歌集。905年に醍醐天皇の命を受け、913年に選定された。撰者は紀友則、紀貫之、凡河内躬恒、壬生忠岑の4人だった。そこで、壬生忠岑が和歌体十種の著作だとされていた時期もあるが現在は疑問視されている。 国宝の古今和歌集は仮名序と20巻すべ…

【東博150年】医心方

国宝の書について、内容もさることながらその文字の芸術的な美しさや、そこに描かれた挿絵、紙質など総合的に優れたものが多くある。紙は貴重なものであるため、それ自体に書かれている時点で高貴な内容ではあるが、そこから一角上を目指すハイクオリティー…

【東博150年】和歌体十種

飽くなき研究はいつの時代もある。日本で生まれた和歌について論じたものが和歌体十種である。平安時代に出来た論で、その内容を美しい藍と紫の飛雲を大ぶりにすき込んだ薄手の鳥の子紙に書き、それ自体が工芸品に仕上げた。和歌を十体に分類してそれぞれに5…

【東博150年】世説新書巻第六残巻

世説新書巻は中国の後漢時代から東晋時代までの名士の逸話を編纂した小説集。国宝の第六残巻は唐時代に書写されたもので、東寺の観智院に伝来したことが知られる。4つに分割された。東博、京博、文化庁及び個人所有となっている。そのすべてが国宝に指定さ…

手鑑 見努世友 出光美術館

コロナ禍に突入して出光美術館は開館を控えていた。都心のビル内にあるため閉鎖空間でコロナ対策がきっちりと構築して、感染が落ち着くまでと慎重な対応だった。若冲コレクターで有名なプライスから譲り受けたものの展示や、開館55周年を記念した展示会など…

遺告 良源筆 廬山寺

天台宗を盛り上げた初期メンバーとして、最澄、円珍、円仁がいるが、中期を盛り上げた人物として良源の貢献度が頭一つ抜けている。中興の祖といっても言い過ぎではない。 良源は第18代天台座主で、通称の元三大師という名で知られいる。東京会場では深大寺の…

円珍贈法印大和尚位並智証大師諡号勅書 小野道風筆 東京国立博物館

国宝の中で観る視点で全く別の内容での展示カテゴリーが複数ともに国宝指定に相応しいものはそれほどない。円珍贈法印大和尚位並智証大師諡号勅書は宗教と書跡の両面で国宝クラスとなっている。 宗教面は円珍が大師の称号に相応しいと認定された点で、天台宗…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。