国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

【東博150年】一遍上人伝絵巻巻第七 法眼円伊筆

時宗の開祖である一遍の生涯を描いた絵巻。法眼は位で円伊が描いた。全12巻からなる絵巻物で、7巻のみ東博所有となっている。他は京都の歓喜光寺から神奈川の清浄光寺(遊行寺)へ伝わり、7巻のみ模写だが全巻揃っている。江戸時代に7巻だけ流出したあ…

白糸威鎧 日御碕神社

鎌倉殿の十三人も大詰めを迎えてきた。北条氏の一強となり、新しい世の中となる過渡期。鎌倉武士の内紛から都人たちの対峙に移行し始めており目が離せない。 結果として時代は武士政権へと移行し、甲冑にもデザインが求められるようになった。派手で目立つも…

【東博150年】破墨山水図 雪舟等楊筆

雪舟の人となりが分かる作品。賛に自身が大陸に渡って本格的に勉強したことや、周文や如拙の水墨画の名人たちの系譜を引き継ぐのは自分だとか、とにかん自慢を書き連ねている。この水墨画は弟子に宛てたもので、この弟子・如水宗淵も持ち帰った道中で京都五…

倶利迦羅龍蒔絵経箱 当麻寺奥院

上野に来たら、東博詣では外せない。10月に東博150周年展を控えているので、東博所蔵の国宝の展示はなかったが、寄託品の名品たちがお目見えしていた。 この夏は奈良博で當麻曼荼羅展が開催され、当麻寺関連の国宝を観ることが出来た。現地では東塔と西…

【東博150年】竹斎読書図 伝周文筆

周文は相国寺の僧侶で、足利将軍家に画家として仕えていた。現在の感覚からすると僧侶が画家というのはなんとなく違和感があるが、そもそも現代ですら画業で生計を立てるのは至難の業。そして、中世ではどれだけ才能があっても見出される機会は多くないので…

【三の丸尚蔵館展】動植綵絵 若冲

若冲の動植綵絵は国宝界のスーパースター。なにせ、客を呼べる。東京芸大美術館での三の丸尚蔵館展でも動植綵絵目当ての人が多いと肌身で感じた。 展示を見る順番は3階から地下1階というルートで、3階はそこそこ人がいたが一部の作品を見る時以外は肩が触…

【東博150年】秋冬山水図 雪舟等楊筆

雪舟が四季それぞれを山水画で描いた中の秋と冬が東博所蔵となっている。山水画を描く季節としては陽気な春夏よりも、秋冬の方が見応えがある。雪舟らしさを感じるのは冬。断崖絶壁が非現実的な形で描かれており、これぞ雪舟画の真骨頂といった作品である。 …

【三の丸尚蔵館展】絵因果経 東京芸術大学

連日の猛暑の中、各地をうろうろするの諦め、涼しくなる9月を待って国宝探索を再開した。その初っ端は上野を選んだ。 東京都美術館で開催されているボストン美術館展は、国内にあれば国宝指定間違いなしの、平治物語絵巻(三条殿夜討巻)や、吉備大臣入唐絵…

【東博150年】納涼図屏風 久隅守景筆

なんともゆるい作品である。内容しかり、描き方しかり。ゆるい雰囲気は建物と軒下の構造がきっちりしていない点が拍車をかけている。このゆるさが納涼にはちょうど良い。暑い夏に見るべき作品。でも、ピカソが評価されると同様に、久隅守景は狩野探幽の弟子…

【東博150年】洛中洛外図屏風(舟木本) 岩佐又兵衛筆

浮世絵の源流とも言われる岩佐又兵衛の作品は人物がそれぞれ生き生きしている。源氏物語や伊勢物語、浄瑠璃物語、小栗判官絵巻などストーリ性の高い作品を手掛けている。洛中洛外図屏風は屏風内に数多くの人物が描かれており、その一人一人にストーリが感じ…

【東博150年】観楓図屏風 狩野秀頼筆

花を愛でる習慣がある一方で、紅葉狩りの習慣が日本にはある。狩野秀頼は楓を愛でる人々(といっても高貴な人)を描いた。それぞれ派手でよそ行きの着物を着て、老若男女問わず楽しみ、生き生きしている姿を描いている。そこに色づいた楓と遠くに白化粧した…

【東博150年】檜図屏風 狩野永徳筆

狩野派のイメージを決定づけた作品のひとつは檜図屏風だろう。武将が好みそうな豪快で力強い檜の大木を実寸以上に派手に仕上げた作品となっている。永徳以降の狩野派の絵師たちが将軍のお抱え絵師になり、各所に屏風絵を描くことになるが、この派手さを超え…

【東博150年】松林図屏風 長谷川等伯筆

長谷川等伯筆の松林図屏風は東京国立博物館のお正月の顔となる作品だ。三井記念美術館所蔵の円山応挙筆・雪松図屏風とともに、冬の名物作品である。今回の記念展では最初の2週間限定で公開される。松林は冬に見ることが多いので、寒いイメージがあるが、も…

【東博150年】花下遊楽図屏風 狩野長信筆

桃山から江戸時代にかけての花見の風景を描いた屏風。狩野永徳の末弟である長信によって描かれた。関東大震災で右隻の2扇が焼失したが、それでも踊りながら楽しく花を愛でる人々の描写は残っている。遊楽図とはまさにこのこと。コロナ禍になった現在、改めて…

【東博150年】鷹見泉石像 渡辺崋山筆

渡辺崋山筆の鷹見泉石像は人物画なのだが、服は線描を使った東洋の伝統的な画法に対して、相貌は西洋の陰影法や彩色法を取り入れて描かれた。国宝人物画には神護寺所蔵の伝源頼朝像などや、金沢北条氏四将像、高僧や天皇家など教科書で一度は目にした人物た…

【専修寺展】西方指南抄 親鸞筆、三帖和讃 親鸞筆

三重県にある高田本山専修寺の宝物館の改修工事がもうすぐ終わる。そして、2023年は親鸞聖人生誕850年の記念イヤー。すでに京博で2023年3月25日より「親鸞 生涯と名宝(仮)」が開催されると発表があった。専修寺の国宝は公開されるのかとネットサ…

【東博150年】楼閣山水図屏風 池大雅筆 

池大雅は与謝蕪村とともに南画の大家。楼閣山水図は6曲一双の大作で、宋代の図を参考に、楼上には文人墨客が集って雅会を催している風景と、湖水が長江に注ぐありさまを描いている。単なる水墨画ではなく、緑青、群青、朱などの濃彩を用いて視線を誘導して…

【東博150年】瀟湘臥遊図巻 李氏筆

中国の水墨で描いた山水画は静寂の中にあって、その風景に吸い込まれる。瀟湘臥遊図巻も宋代の傑作で乾隆帝コレクション中の四名巻の一つとして珍重された。なので、名のある北宋末に活躍した文人画家の李公麟の作品と考えられてきたが、同郷の李という画家…

【東博150年】寒山拾得図 因陀羅筆

因陀羅筆の寒山拾得図は断簡された絵画がそれぞれ国宝指定となっている。5つが指定を受けているが、その一つが東博所有。5つつすべてが一度に同じ場所で公開される時が来るのか。曜変天目茶碗3つ同時に同じ場所公開よりも可能性はあるが、果たしてどんな企…

【東博150年】紅白芙蓉図 李迪筆

紅白芙蓉図は宮廷画家(画院画家)であった李迪が描いた。花や鳥や動物を描くことを得意とした画家で、忠実に写実している。若冲の動植綵絵のような本物より本物らしい絵画ではないが、美しい瞬間を切り取り永遠に残した作品だ。それを茶室に合うように日本…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。